土間が流行している理由とは?メリットとデメリット

土間とは簡単に言うと、家屋の中でも土足で歩ける様に造られた区画を指します。日本の伝統的な家屋に多く存在し、様々な用途で使用されています。

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  1. そもそも土間とは?
  2. 土間が流行っている理由
  3. 土間のデメリットとその軽減策
  4. まとめ

 

1. そもそも土間とは?

土間の用途として下記のものが挙げられます。

  • 農具や漁具の収納・手入れ
  • キッチン
  • ガレージ
  • アトリエ
  • DIY作業場
  • アウトドアグッズの収納

上記のように土間は様々な用途で使用する事ができ、非常に使い勝手が良いです。多目的に使用する事ができるフレキシブルさを兼ね備えており、アレンジは自由自在に行う事ができます。これらを実現するためには土間を構成する材料が重要となります。

昔の土間は土に、石炭やニガリを混ぜて固めたものを使用しており、「三和土(たたき)」と呼ばれていました。現代の土間は生活が洋風化した事も影響しており、コンクリート・タイル・珪藻土(けいそうど)などを用いて作られる事が多くなりました。材料によって土間の性質にも大きな違いが生まれてきます。

材料の違いで性質が変化する土間ではありますが、一般的には固い材質で構成されています。そのため土間自体は非常に固く、傷や汚れを気にしないでも良い事が多いとされています。また土間は屋内と屋外間の空間に設けられているので、屋外への導線として活用される特徴も持ち合わせています。

 

2. 土間が流行っている理由

実は土間はあまり人気がなく、風化する風潮にありました。しかし、最近はリノベーションの流行りに乗って、高い収納性と利便性で再び注目されるようになりました。ここでは土間が流行っている理由を解説します。

土間が流行っている理由の一つに「実用性が高い」事が挙げられます。土間を広く設けた場合は屋外で使用する道具等を置きやすく、散らかりにくくなります。また土間にクローゼットを設置する事で、外出時に身につけるものを簡単に収納し、持ち出す事ができます。

土間が流行っている別の理由として、「おしゃれな空間を演出できる」もあります。特に玄関に土間を設ける事で空間を広く演出する事ができ、ディスプレイとして自転車や靴などを飾る事ができます。さらにはインナーテラスとして使用する事もでき、家の中の空間を区切る事ができます。

これらの理由に加えて土間が流行っている最大の理由として、「多目的な用途」が挙げられます。土間の用途で紹介した用途はもちろんの事、屋外で使うものを運ぶ導線を短くできる等の実用性もあります。また屋内に持ち込みたくない砂がついているものなども、土間に収納もしくは掃除する事もできます。

このように様々な理由で土間が流行っています。特に近年はリノベーションが盛んに行われており、土間は余分なスペースを活用するために設けられるようになっています。また多目的に使えるメリットがあるため、その活用方法は多岐に渡ります。今回はわかりやすく解説するために、土間を様々な用途に見立ててどのように活用できるかを紹介します。

リビング

土間をリビングとして活用するメリットは大きく3つあります。一つ目は「夏場は涼しい」事が挙げられます。土間の材料として使用されているコンクリートは熱伝導率が高いです。そのため土間が広いほど家が涼しくなり、夏場はエアコンを使用しなくても自然の涼しさで過ごす事ができます。

2つ目のメリットとして挙げられるのが、「汚れが気にならない」事があります。これは土間自体がコンクリートやタイルで作られているため、汚れが落としやすい事が挙げられます。カーペットや絨毯などは液体をこぼすとシミになりますが、土間をリビングとして使用する場合は掃除が簡単になります。

土間をリビングとして活用するメリットの3つ目として、「多目的な利用方法」が挙げられます。これは文字通り土間リビングを様々な方法で利用する事ができ、こどもやペットの遊び場から収納スペースなど限定がない空間になります。そのため個々の生活スタイルに合わせて自由自在に使用する事ができます。

玄関土間

先ほどのリビングと同じく、玄関も土間にする事で生活が快適かつ便利になります。玄関を土間にする事のメリットとして、「広々とした収納を設置できる」事が挙げられます。玄関は他の場所と違って屋内と屋外を結ぶ場所となります。

そのため屋外用の道具が散らかる傾向にありますが、玄関を広々とした土間にする事で大きな収納を設置する事ができます。収納を設置する事で屋外用の道具はしまう事ができ、それ以外でも季節性のものも収納しておく事ができます。また土間は多少の汚れを気にする必要がないので、屋外の汚れも気にせずそのまま床に置く事ができます。

他に玄関を土間として利用するメリットとして、おしゃれな演出が可能という事が挙げられます。玄関は家の顔とされており、土間を設置する事でディスプレイなどを飾る事ができます。自転車を壁に飾るなど、土間特有の屋外的な空間を利用した演出が可能です。

ペットやこどもの遊び場

リビングとして土間を活用する方法でも簡単には紹介しましたが、土間をペットやこどもの遊び場として活用する事ができます。これは土間が「汚れを気にしなくても良い」事から、こどもやペットが泥まみれでも掃除が楽になります。またペットの場合は足への負担がフローリングよりも土間の方が軽くなります。

ガレージ

土間を活用する方法の一つとして、「ガレージ」として利用する方法が挙げられます。土間は構成する材料が固いという特徴があるため、屋外と同じように扱う事ができます。そのため屋外でしかできない事を、屋内で行う事が可能となります。

例として自転車やバイクを収納する事ができ、悪天候時の心配も土間であれば必要ありません。また土間をガレージとして活用すればDIYなども行う事ができ、施錠もできるために工具の盗難心配などが必要ありません。

趣味のスペース

「趣味のスペース」として土間を活用する方法があります。これは先ほどのガレージに通ずるものがありますが、土間は汚れを気にしないで良いので絵画などの趣味も可能です。また広さも確保すればヨガやトレーニング、音楽鑑賞など様々な趣味を嗜む事ができます。

収納

土間を活用する代表的な方法が「収納」です。屋内にありながら屋外と同じ特性を持つ土間は、屋内外問わず様々なものの収納には打ってつけの場所となっています。また汚れを気にしないで良い事からも、屋外で使用して汚れた道具もそのまま収納する事ができます。

収納はその実用性もさながら、おしゃれに収納をする事で土間を素敵な空間に仕上げる事ができます。例えば自転車を壁掛けで収納する事で、利便性とおしゃれの両方を同時に演出する事ができます。またオートバイや自転車などの高価なものを土間に収納する事で盗難防止にも繋がります。

サンルーム

土間の活用方法で最後に紹介したいのが、「サンルーム」として活用する方法です。庭に続くように土間を設ける事で、悪天候や季節に関係なく土間でゆっくりと過ごす事ができます。また土間をサンルーム兼リビングなどとして活用する事で、自然と触れ合う事ができる毎日を過ごす事が可能です。

 

3.土間のデメリットとその軽減策

ここまで土間のメリットを紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。土間のデメリットの多くは、軽減策を設ける事で回避できます。まずはデメリットを最初に紹介し、その後にデメリットの軽減策を解説します。

土などの汚れ

屋外のような屋内空間である土間は、自転車やバイクなどのタイヤに付着している土が落ちやすいです。またストーブ用の燃料を保管する事もできるため、土以外の汚れも土間に落ちる可能性があります。そのため「汚れ」はデメリットの一つとして挙げられます。

しかし、汚れもある程度の対策を行う事で軽減する事ができます。例えば土間床の材質をタイル仕上げにする事で、乾いた土などの汚れは箒で掃く事ができます。また濡れている汚れを落としたい場合は、水栓を設置したり排水設備を整えたりする事で手入れが簡単になります。

部屋の移動の際に靴を掃いたり脱いだりする手間がある

土間をリビング等として利用する場合は、他の部屋へ移動する際は靴の脱ぎ着が手間になります。脱ぎ着の手間で煩わしさを感じてしまい、部屋と部屋を心理的に分断してしまう可能性があります。ただし、これもしっかりと対策する事で手間を減らす事ができます。

例えばよく行き来する部屋間に土間を設置しなければ、靴の脱ぎ着の手間を省く事ができます。または土間を通らずに部屋を行き来できるルートを確保するのも、軽減策の一つになります。判断が難しい場合は専門家にアドバイスを求める事もおすすめです。

湿気

冬場は土間の性質上どうしても「湿気」の問題が発生してしまいます。これは土間が屋外と屋内間の空間であるため、屋内の暖かい空気と屋外の寒い空気がぶつかって結露が発生します。結露が生じる事により、湿気が生まれてしまいます。

これを軽減する方法として、壁の材質を調湿効果がある物で設置する事が挙げられます。例えば珪藻土などの調湿効果がある自然素材を、壁の材料として使用する事で湿気を調整する事ができます。また風の通り道を設ける事で湿気対策をする事ができ、同時に洗濯物を干すスペースとしても活用する事ができます。

冬は寒い

土間の活用方法で紹介した「夏は涼しい」に対して、デメリットとして冬場は寒くなります。これは土間が屋外と屋内の、中間的な立場である性質上発生するデメリットです。また土間の材料である、コンクリートの熱伝導率の良さから来ている物でもあります。

コンクリートは熱伝導率が高いとされているので、冬場の土の冷たさがそのままコンクリートを伝って表面に出てしまいます。特に土間をリビングやキッチンとして利用する場合、底冷えは非常に大きなデメリットとなり得ます。しかしこのデメリットもしっかりと対策を取る事で軽減する事ができます。

底冷えをなくす最も大きな軽減策として、施工時断熱効果のある材料を使用する事が挙げられます。また断熱材と併せてストーブも設置する事で、ストーブの熱を逃す事なく屋内を暖めたままにできます。

家の中に段差ができる

土間のデメリットとなり得るのが、家の中に段差ができる事が挙げられます。一般的に土間は土の上に設置されますが、土間以外の部分は建物の基礎の上に作られます。そのため土間と建物には基礎部分の高さに差が生まれ、段差ができてしまいます。

段差ができてしまう事で、こどもや高齢者が使いづらくなってしまいます。またバリアフリー化をしたい場合は追加で工事を行う必要があり、費用がかさんでしまうデメリットにもなってしまいます。しかしこのデメリットも軽減する事ができます。

段差で不便を講じないために行える軽減策として、土間にスロープや手すりを設ける方法があります。スロープや手すりを設置する事で、簡易的なバリアフリーを実現する事ができます。また将来の事も考えて土間施工時には、あらかじめバリアフリーを念頭に置いて設計する事で段差の対策を行う事ができます。

 

4. まとめ

日本の住宅に、昔から存在している”土間”という空間は、現代で新たな生活空間の一部として、また注目を集めている事を解説しました。近年はリノベーションの需要の高まりや、多目的で使用できるスペースとして、土間が見直されています。土間自体はシンプルな作りですが、そのメリットは実に多岐に渡ります。

土間の最大のメリットは、その多岐に渡る「実用性」にありますが、これ以外にも忙しい現代人が休息を取れる魅力溢れる空間としても活用する事ができます。また屋外と屋内の中間的な存在であるが故のメリットも非常に多く、利便性に置いてもメリットが豊富に存在します。

メリットが転じてデメリットとなる場合がありますが、どのデメリットでも軽減策があり、それらを行う事でデメリットは消す事ができます。ちょっとした材料の工夫や設計の工夫でデメリットを打ち消す事ができ、メリットを最大限活かす事が可能となります。これから新たに新築、リフォームで家を建てるのなら、再び脚光を再び浴びている「土間」を設置することをおすすめします。