新築時にIHクッキングヒーターの導入をお勧めする理由とは
IHと聞いて思い出すのは、IHクッキングヒーターやIH炊飯器ではないでしょうか。最近では、IHは随分と身近な存在になり「IH」という言葉の意味を考えたこともないという方もいらっしゃると思います。
1. そもそもIHとは?
そもそもIHとは、「Induction Heating」の頭文字から取ったもので、「電磁誘導加熱」という意味です。これは、電球などの電熱線の抵抗によって発生する熱とは異なります。IHは、誘導電流が生じることで直接熱せられるのです。
例えば、IH炊飯器では、炊飯器の釜そのものを発熱させ、全体に熱を伝えるという電磁誘導加熱を使って米を炊いているのです。
また、IHクッキングヒーターでは、IHは鍋の底に誘導電流が生じることで鍋やフライパンが直接熱せられます。これは、ガスコンロのように直火で加熱するのではなく、機器内部にあるコイルに電気を流すことで磁力線を発生させます。
この磁力線がトッププレートの上に置いた鍋やフライパンの底でうず電流を発生させます。その結果、鍋やフライパンの金属中の抵抗が発熱し、鍋底部分が熱くなる仕組みになっているのです。
2. IHクッキングヒーターは急速に普及が進んでいる
1990年代頃までは、家庭では、クッキングヒーターといえばガスが一般的でした。しかし、2000年を超えるとクッキングヒーターは選択肢が広がり、ガスだけではなく、IHという選択も新たに増えました。その後、継続的に需要は拡大して、なんと2016年にはIHクッキングヒーターの国内累計出荷台数が1,101万台を突破しました。その後もIHの安定した需要が続いて、毎年70万台以上の出荷がされています。
令和2年の環境省の調査によると、IHクッキングヒーターの普及率は25.4%(IH以外の電気コンロ含む)になり、約4軒に1軒は使用していることがわかっています。
また、戸建て住宅に限定すると普及率は33.8%(IH以外の電気コンロ含む)になり、約3軒に1軒は使用しており、戸建て住宅を中心に普及が進んでいることがわかります。
結論から申し上げますと、今から新築するならガスコンロではなくIHクッキングヒーターを断然おすすめします。
ではなぜ、IHクッキングヒーターを選択する家庭が増えているのでしょうか。それは、IHクッキングヒーターを選択することによるメリットが大きいからです。次に、IHクッキングヒーターを選択するメリットをご説明します。
3. こんなにたくさんあるIHクッキングヒーターのメリット
火力が強い
IHクッキングヒーターでは、火が出ないため火力が弱いと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際には3Kwといった火力があるIHクッキングヒーターであれば、ガスコンロと同等かそれ以上の火力が出るのです。ガスコンロは火力が空気中に逃げてしまいますが、IHクッキングヒーターは鍋が直接発熱するため全く熱効率が異なります。なぜなら、IHクッキングヒーターは熱効率が約90%と高く、ほとんどの加熱のエネルギーを調理に活かすことができるのです。
一方、ガスコンロの場合の熱効率は、2022年式のもので56.3%です。残りの43.7%はロスになってしまい、鍋を熱くするのではなくキッチン空間を暑くしてしまっていることになります。実際に、日本の真夏日にガスコンロを使っているお宅では、キッチン空間を暑くする行為は、相当なデメリットになるでしょう。
また、火力が強いと炒め物などの料理を美味しく作ることができます。仮に、美味しい中華料理店が炒め物をしているところを想像してみてください。大きな中華鍋を使い、大火力で素早く炒め物を調理しているのではないでしょうか。大火力で調理することでおいしいプロの味が出せるのです。それと同様に、ガスコンロよりIHクッキングヒーターの方が火力をだすことができます。
また、IHクッキングヒーターは、鍋の底に誘導電流が生じることで鍋やフライパンが直接熱せられるので、鍋底全体を均一に温めることができます。その結果、ガスコンロと比較しても、むらなく調理が可能になります。実際にたくさんの料理人も、素人は鍋やフライパンが直接熱せられるIHクッキングヒーターをおすすめしていて、料理人自身も自宅ではIHクッキングヒーターを使っているケースが多いです。
火の加減が簡単
ガスコンロでは、火のむらがあり、火力の微調整が難しいです。一方で、IHクッキングヒーターでは、スイッチで正確に火力を調整できるので、火の加減が簡単です。火の加減が簡単になると、とろ火といった調節が簡単になります。とろ火が正確にできることで、何分もかからず火が通る薄焼き卵や、煮豆など長時間じっくり火を通すことへの再現度が上がります。その他にも、一度作った料理の再現も簡単にできるので、メリットと言えるでしょう。
上面が完全に平らなので調理スペースとして使える。
IHクッキングヒーターにすることで、調理スペースを増やすことにも繋がります。実際に、普段キッチンを利用していて作業場のスペース不足に感じたことはありませんか?そんなときに、IHクッキングヒーターであればIHクッキングヒーターの上で調理が可能なので調理スペースとして使用することができます。
そうすることで、メリットになることが2つあります。
1つ目は、ストレスなく料理ができるということです。例えば、キッチンスペースが小さく、出したい調理器具を出せなくて効率よく料理ができないということが考えられます。また、調理をしている中でまな板やお皿をいちいち片していては、料理が進まないということが考えられます。そういった際にIHクッキングヒーターの上を使い、スペースを最大限に活用することでストレスなく料理ができるのです。
また、2つ目は、広くスペースが使えることによって安全に調理ができることです。調理スペースが狭いと、手やひじに食器や食材がぶつかってしまい、落としてしまう可能性があります。運悪くガラス製の食器などが地面に落ちて割れてしまうとケガをしてしまうこともあるでしょう。このように、調理スペースというのは料理をする上で最も重要と言っても過言ではありません。また、調理スペースが広ければ、料理を作るのも楽しくなること間違いないでしょう。
料理の後の掃除が簡単。拭き取るだけできれいになる
IHクッキングヒーターは表面が平らな形状なので、油汚れを簡単にお掃除できるのが魅力です。また、凹凸の少ないIHクッキングヒーターは、料理が吹きこぼれてしまった際にも表面をふき取るだけでいいのでお手入れが簡単です。
また、IHクッキングヒーターはガスコンロと比較して手入れが簡単なため、壊れにくく、コストパフォーマンスが良いというメリットになります。IHクッキングヒーターはカセットコンロのように五徳がないので、五徳に汚れが溜まることもなく長く綺麗に使用することが出来ます。それによって、長く綺麗に使用することができるので、故障しない限り使用できるといった点から、コストパフォーマンスの良さにも繋がるということです。
調理後には気になる箇所を布巾で拭くように心がけるだけで長く清潔な状態を保てるため、おすすめです。
ガスを使わないので火災やガス漏れの心配がない
IHクッキングヒーターはガスではなく、電気ですので火災やガス漏れの心配がありません。小さなお子様がいらっしゃる家庭でも安心してお使いいただけます。 また、お子様が料理を手伝おうとしてくれるようなことがあってもIHクッキングヒーターであることでガスコンロよりも安心して任せることができるでしょう。
着衣に燃え移る心配がない
ガスコンロは、火が着ている着衣に燃え移り、パニックになってしまう可能性もあります。しかし、IHクッキングヒーターにすることで、着衣に燃え移る心配なく、安心して料理をすることができるのです。
空気がガスで汚れない
ガスコンロでは、火を使って料理をします。火は空気中の酸素に反応して二酸化炭素が発生します。その結果、十分な換気が必要になります。また、酸素が少ない状態で物が燃えると不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生し非常に危険な状態になります。
そこで、ガスで火を使わないIHクッキングヒーターにすることで空気を汚さないようにできるというメリットとなるのです。
すすが出ないので部屋の中が汚れにくい
IHクッキングヒーターは、火を使わないので、なべ底のすすの発生が少ないです。それにより、部屋の中が汚れにくくなります。また、水蒸気を含んだ油煙が少ないので換気扇や壁のベットリとした油汚れも気にならなくなると評判です。IHクッキングヒーターを使用することによって、二酸化炭素や結露の素となる水蒸気などの燃焼ガスが発生せず、室内の空気が汚れにくくなることは間違いないでしょう。部屋の中を清潔に保つためにIHクッキングヒーターを使用することをおすすめします。
部屋の中が熱くなりにくい
IHクッキングヒーターは、調理器具と密着しているため、熱が空気に伝わりにくいという傾向にあります。つまり、部屋の中が暑くなりにくいのです。
一方で、ガスコンロの場合には、調理器具の底から火の熱が空気に伝わっていき、部屋の中が暑くなってしまいます。
したがって、IHクッキングヒーターを利用すれば、キッチン周辺の環境が暑くなりにくく、快適に調理を進められるということです。夏でも快適に調理をしたいという方には大変おすすめです。
ガスコンロは火力の空気中に逃げてしまうが、IHは鍋が直接発熱するため台所が熱くなりにくい
ガスコンロで料理をする際に部屋の中で一番熱くなるのが台所です。特に真夏だとできるだけガスコンロに近寄りたくないけど、料理も作らないといけないから台所に行かないといけないという状況になってしまいます。そこで、鍋に直接発熱するIHクッキングヒーターにすることで台所を熱くなりにくくすることができるのです。
4. IHクッキングヒーターのデメリット
IHクッキングヒーターのデメリットは、ほとんどありません。それ程、IHクッキングヒーターは高性能だということです。しかしこれは、デメリットが全くないというわけではありません。
若干費用が高い
一番のデメリットとしては、若干費用が高いということです。IHクッキングヒーターにすることで、ガス料金は発生しませんが、その代わりに電気代が発生します。その結果、トータルで考えるとガスのほうが少し安くなるでしょう。しかし、この記事の最後にもご説明しますが、この費用が高くなってしまうというデメリットは解決することが可能なのです。ぜひ、最後まで読んでもらえると嬉しいです。
炒めものをあおることができないが・・・
IHクッキングヒーターは、炒め物をする際、常にコンロにセットした状態を保つ必要があります。そのため、炒め物をあおることができません。そもそも、あおることの意味をご存知ですか?あおるとは、鍋やフライパンを前後に振るようにして食材を宙に舞うようにして混ぜ合わせる料理技術のことです。これは炒めものには欠かせない技術と言われています。
しかし、実は炒め物はあおる必要がないのです。料理人が炒飯を作っている姿を想像してみてください。鍋を何度もガシャガシャあおるパフォーマンスをしている姿が思い浮かぶ方がほとんどではないでしょうか。しかし、その行為は必要のないものだとされています。なぜなら、火から遠くなれば鍋中の温度は当然に下がってしまうからです。また、空中で米や卵が踊ることで乾いて硬くなってしまうのです。そのため、ガス代がもったいないだけだと言われています。
つまり、鍋をしっかり火に当てておく方が、動きはゆっくりに見えても仕上がりは早く、美味しいものが出来上がるということです。
使える鍋・フライパンに制限がある
IHクッキングヒーターは、使える鍋やフライパンに制限があります。具体的には、銅鍋やアルミ鍋、また耐熱ガラス鍋や土鍋などはIHクッキングヒーターでは使えません。理由は、油が過熱されすぎてしまって、発火してしまうリスクがあるからです。 IHクッキングヒーターの仕組みゆえに、「IH対応」と表記された鍋やフライパンしか使うことができないのです。そのため、ガスコンロからIHクッキングヒーターに変えようと思っている場合、これまで使っていた鍋やフライパンが使えなくなってしまうことがあります。
キッチンのリフォームをきっかけに調理器具も一新しようと思っているようなときにはデメリットとはなりませんが、これまでと同じものを使おうと思っていた場合はIH対応かどうかを確認しておくようにしましょう。
5. 新築時にIHを導入すべき理由
新築時にIHクッキングヒーターを導入することで、台所へのガスの配管がいらなくなるので建築コストの削減になります。その結果、唯一解決が難しいと思われたガスコンロとの費用の差が大きく縮まります。
このことから、新築時にはIHクッキングヒーターを導入することを強くおすすめします。
6. まとめ
今回は、新築時にIHクッキングヒーターの導入をお勧めする理由についてIHクッキングヒーターのメリット、デメリットを含めてご説明しました。
IHクッキングヒーターでは、鍋の底に誘導電流が生じることで鍋やフライパンが直接熱せられることによってメリットがたくさんあることが分かったのではないでしょうか。
特に、安全性などの観点からも小さなお子様から高齢の方までIHクッキングヒーターの導入をお勧めすることができます。
是非、この記事を参考にIHクッキングヒーターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。