理想の注文住宅を作るための最大の難関・予算の使い方
理想の注文住宅を作るためには、様々な困難があるでしょう。その中でも大きな困難が「予算」です。予算が無限にあれば何でもできることでしょう。しかし、予算は有限です。ですので、優先順位を決めることでその中でやるべきこと、やらないことを決める必要があるのです。この優先順位をはっきり決めないと、建ててから不満足な家になってしまう。逆に言えば、この優先順位を決めることで建ててからも満足するような家にすることができる可能性が上がるでしょう。
そこで、今回は、理想の注文住宅を作るための最大の難関・予算の使い方をご紹介します。
注文住宅は生き方の根本が問われる
注文住宅を検討する際に最初になぜ家が欲しいのかをはっきりさせる必要があります。
これは人生にも同じことが言えるでしょう。人生においてはいくつもの選択肢で迷うでしょう。しかし、なかなか選べずに結局選択できないという方が多いのではないでしょうか。
人生において、同時に2つの人生の選択肢を選べないのと同じで、ありとあらゆる可能性の中から選ぶのが注文住宅になります。そのため、注文住宅は生き方の根本が問われるのです。人によって様々ですが、例えば、自分の家族が何を大切にしたいかという価値観が問われるのが注文住宅です。
注文住宅を欲しい理由を話し合い明確化する
実際に注文住宅を検討する際には、「実現したい暮らしとは何か?」を考えるのがよいでしょう。その際には、それを一言で表現することを意識するのが良いでしょう。目的を明確にすることでクリアに選択をすることができるのです。
家造りとは人生の一大プロジェクトです。様々なプロジェクトにおいて成功させるためにはプロジェクト憲章をつくりましょう。その最初にやるべきことがプロジェクトの目的の作成です。これがないとプロジェクトが迷走することでしょう。言い換えると、目的がはっきりとしない注文住宅の建築は、予算の制約がある以上全て盛り込むことができないです。つまり、迷走して失敗する可能性が高くなることでしょう。
その際にプロジェクト憲章を参考にすると良いでしょう。「プロジェクト憲章」とはプロジェクトの認知・承認を目的として、プロジェクトの立ち上げプロセスで作成される企画書のことを指します。プロジェクト憲章では、プロジェクトの目的を記述していきます。プロジェクトの目的とは「なぜこのプロジェクトを始めなければならないのか」という情報です。この目的が明確であればあるほど、成功基準も明確になり、プロジェクト・チームへの共有もしやすくなります。このプロジェクト憲章を参考に話すことが良いでしょう。
目的に応じて優先順位を決める
目的とはどんなことでしょう。住む人によって目的は多種多様です。腕時計にたとえてみましょう。腕時計はどのように選択するでしょうか。ブランドや機能性など目的は多様でしょう。例えば、ロレックスのようなブランドの高級腕時計もあれば、Apple Watchといった機能的なスマートウォッチもある。これは、優劣があるわけではありません。使う人によって目的が違います。その目的に合わせて時計を選択していることでしょう。これは、注文住宅も同じです。目的に応じて優先順位を決めることで重要になるのです。
予算の考え方のコツ
予算をかけるべきポイントを考える
目的が定まった上で予算をかけるべきポイントを抑えることで最適な考え方ができます。以下にご紹介します。
土地には何を求めるのか
ひとえに土地といっても様々です。例えば、便利だが値段が高い土地やや不便だが安めの土地などがあります。目的に合わせて駅からの立地などが考慮されて便利な土地を選択することや金額を考慮して駅からは遠いが金額を抑えてやや不便な土地を選択することも良いでしょう。また、広い土地・狭い土地など選択は豊富です。そんなときに考えるのが目的です。自分が何のために注文住宅を検討しているのかを考え直すことで自然とベストの選択ができることでしょう。
建物には何を求めるのか
それでは建物には何を求めれば良いのでしょうか。大きさや部屋数、性能、内装と拘ってしまうときりがありません。これもご自身の目的に合わせて選択するのが良いでしょう。
絶対これは嫌という意見を聞く
目的を明確にした後には、絶対これは嫌だというポイントが何処にあるのかを把握する必要があるでしょう。人によって価値観が違うのは当たり前です。そこで、住む人の意見の中でも嫌な部分を選択肢から外すことで理想の注文住宅になることでしょう。特に、家に対して思い入れが強ければ強いほど、意見が別れやすくなります。もし、そのまま意見が対立したまま、家を建ててしまうと、その不満はずっと残り続けます。そうするとおのずと理想の注文住宅から離れることになるでしょう。そうなることを防ぐためにも絶対これは嫌という意見を聞くことが重要になるのです。
そもそも予算は適正なのかを検証する
最初に、家を建てるための自己資金(頭金)をどの程度出せるかを確認することから始めるのがよいでしょう。自己資金(頭金)は主に「住宅ローンの頭金」「住宅ローンの実行前に必要な費用の支払い」に使用します。
自己資金にカウントできるものは3つあります。1つ目は、「手元にある貯金」です。2つ目は、「親からの援助」です。3つ目は、「現在住んでいる住居の売却金」です。これらを元に予算が適正なのかを検証していきましょう。
ここで重要なのが、頭金を頼りに貯蓄を崩しすぎてしまうことです。予算の計画をするうえで、住宅ローンの負担を小さくしようとするあまり、頭金(自己資金)の割合を増やしすぎて失敗したケースはよくあります。また、予算を多く取りすぎると生活が苦しくなる、予算が足りないと後で後悔することが起こるので無理なく返せてかつできるだけ多くの予算を確保することが必要になるでしょう。このことから、無理なく返せてかつできるだけ多くの予算を確保することが大事になるでしょう。
ローンシミュレーションをしてみよう
実際にローンが決まったら、ローンシミュレーションをするのが良いでしょう。
自己資金額と住宅ローンの借り入れ金額から、注文住宅を建てるための総予算を決めたら予算配分を決めましょう。予算配分とは、「土地代」と「建築費」にそれぞれいくらかけるかを考えることです。また、注意すべきなのが、「諸費用」にいくらかかるか計算することです。一般的に「諸費用」は土地代と建築費の合計の10%が相場とされています。そのため、土地代と建築費に5,000万円かける場合、500万円分の諸費用も予算計画に含めておくことが必要になるでしょう。
また、土地代と建築費に関しても予算配分をある程度決めておくことが大切です。土地代と建築費それぞれの予算配分が決まっていない場合、土地代に予算をかけすぎてしまい、失敗につながりやすくなります。一般的な予算配分では「土地代25%」「建築費65%」「諸費用8〜9%」という割合が理想でしょう。
さらに、予算を多く確保すると実現できることが増えます。ですので、予算の調整が重要になります。そこで次には、予算を増やすことが考えられる方法をご紹介します。
予算を増やすことを考える
予算を増やすことを考える上で重要なことは2つあります。
1つ目は、頭金を貯めることです。なぜ頭金を多めに入れたほうがいいかというと、住宅ローンの借入額を減らすことで返済負担を軽くできるからです。
2つ目は、安い金利で借りることです。安い金利で借りることで予算を増やすことができるでしょう。
予算を削るポイント
「予算を増やすことを考えること」と同時に「予算を削ることを考えること」を考えなければなりません。注文住宅の予算は自分たちの資金や住宅ローンの返済計画を元に、無理のない予算計画を立てることが大切になります。注文住宅は自由度が高いという特性をもつので、どうしても希望を全て反映させていくと簡単に予算オーバーになってしまうリスクがあります。そのため、余裕を持った予算にするのが良いでしょう。
例えば、建築費の予算は100万円程度の余裕を残しておくこともいいでしょう。何故なら、予算を出した後具体的な設計で希望をどんどん追加していくことで概算見積もりよりも金額が高くなるケースが多数を占めるからです。建築費の見積もりは「概算見積もり」と「詳細見積もり」の二段階に分けられています。工務店やハウスメーカーを選ぶ際に提示されるのが「概算見積もり」です。この段階では大まかな設計とそれにかかる費用の概算を提示されます。その後、契約が完了した後に具体的な設計で設備や建材を選ぶことになるため、概算見積もりの段階で建築費の予算ピッタリである場合は注意が必要になるでしょう。
また、将来使うかを吟味して、設備機器や造り付けの家具についてよく考える必要があるでしょう。設備器具を見直すポイントはずっと使用し続けるかどうかやオーバースペックすぎないかなどです。例えば、システムキッチンにビルトインタイプの食洗機を設置する予定でも、子どもたちが自立して家を出た後も使い続けるかどうか、などを考慮すると据え置きタイプでも十分な場合があります。また、造り付け家具は家のデザインが統一されますが、その分費用がかかります。予算オーバーしている場合は造り付けではなく後から家具を購入することで、建築費が抑えられるでしょう。
子どものための設備は優先度を低めに
人生百年時代と言われています。そんな百年間の人生の中で子どもがいる時期は意外に短いです。そのため、あまり子どものための設備は優先度を低めにすることが好ましいでしょう。
家族で意見が分かれたら
家族で意見が分かれた際に基準になることは4つあります。
1つ目は、「なぜ家が欲しいのかに立ち返ること」です。目的は何だったのかを明確にするということです。この基準があるだけでかなり選択がしやすくなることでしょう。
2つ目は、「プロに意見を求めること」です。プロは様々な依頼に応えています。そのため、蓄積が多く、プロの意見を求めることが良いと言えるでしょう。信頼できるプロに任せることでより多角的に見ることができて、理想的な注文住宅になることでしょう。
3つ目は、「多数決は禁止すること」です。何故なら、たとえ少数派が一人だとしても自分の意見を曲げられた人間が出てきてしまうからです。その人の意見が無視された状態で物事が決定されてしまうので、無視された側はその後ずっとその気持ちを残したまま生活することになります。また多数決によって家族内に派閥ができてしまうのも、人間関係にヒビを入れてしまうきっかけになりかねません。そのため、全員が納得できるまで話し合い、少数派の意見がこぼれないようにするのが良いでしょう。
4つ目は、「親の意見を優先すること」です。子どもの意見を重視することも重要ですが、優先順位では親の意見が第一です。子どもはあっという間に大きくなるものです。子どもと一緒にいられる時間は思ったよりも短いのです。そのため、親の意見を優先した方がよいでしょう。
まとめ
今回は、理想の注文住宅を作るための最大の難関・予算の使い方をご紹介しました。注文住宅は生き方の根本、本質が問われることが理解できたのではないでしょうか。実際に注文住宅を検討する際には、「実現したい暮らしとは何か?」を考え、一言で表現することを意識するのがよいでしょう。そうすることで目的を明確にすることでクリアに選択をするのです。
その後、目的に応じて優先順位を決めましょう。目的と優先順位が決まったら具体的に土地の予算や建物の予算を検討します。その際に何を優先するのかを決めたことが役に立ってくるのです。
また、それ以外にもポイントを抑えることが重要になってきます。絶対これは嫌だというポイントが何処にあるのかを把握することで地雷を避けましょう。
ローンシミュレーションをして予算を決めます。予算オーバーを防ぐために予算をできる限り増やして、削る方法を考えます。そこまでできたら、家族の意見の衝突に備えてポイントを把握しましょう。プロも含めて様々な意見を聞きながら、目的と優先順位を明確にすること予算調整ができると良いですね。