注文住宅で最もこだわるべきポイントはどこか
注文住宅を検討している方は夢がいっぱいでしょう。しかし、たいていの人の場合、予算は有限であると思います。全ての希望を叶えることができないことを把握した上でどのように考えればよいのでしょうか。「どんな暮らしをしたいか?」「その暮らしのためにどこにこだわるか?」によってその後の満足度が大きく変わってきます。何が大切なのか、譲れないポイントを家族でよく話し合って決めることが重要になるのです。
今回は、注文住宅で最もこだわるべきポイントはどこかがわかるようにご紹介していきます。
譲れないポイントとは
注文住宅を考えるときの大事なポイントは譲れないポイントを決めることです。はじめに暮らしの希望から理想の家を思い描きましょう。何が目的で何が必要かを具体的に考えて優先順位を決めていきましょう。
理想の家とはどんな家かを考える際に必要なのは、デザインや工法などの以前に、家族全員でどのように暮らしたいかを話し合うことです。ここで大事なのは誰一人としてかけてはいけないと言うことです。多数決などで決めると一生、一人の意見が通らなかったと言うことになってしまいます。そのため、家族での話し合いが重要になるのです。家は家族の暮らしの場になるだけに、家族全員が納得できる家が理想の家にする必要があるでしょう。
また、最初は手探りで進む注文住宅の家づくりは、テーマを決めることがとても大切ですが、中心になるのは「家族の暮らし」と覚えておきましょう。
このように譲れないポイントを常に判断基準にすることが注文住宅をつくりあげる上での本質になるのです。
絶対こだわるべきポイントとは
1. 間取り
間取りは注文住宅において重要な位置づけになります。内観の中で最も重要になってくるのが間取りです。家の間取りは、建築予定の土地に建てられる広さによって変わってきます。
なぜなら、建ぺい率や容積率などが地方自治体の都市計画によって定められているからです。検討している土地にどの程度の広さの家が建てられるのか、希望している広さの家を建てるには逆にどの程度の広さが必要なのかといった疑問は、予め不動産屋さんや設計事務所に問い合わせて押さえておくべきでしょう。そして、土地のめどがついたら可能な面積の中でリビングやキッチン、玄関などそれぞれの広さや位置を決めていきましょう。
ゾーニング
ゾーニングとは、建物内の空間を用途別に大まかに分けて位置関係を決めていく方法です。ゾーニングによって、実際の間取りを決める前準備ができます。具体的には、リビングを吹き抜けにしたい、家事がスムーズな間取りにしたいといったこだわりポイントを持っておくと良いでしょう。
生活動線
生活動線とは、生活の中でリビングやキッチン、トイレなどを行き来する際の動線のことです。その中でも特に重要なものが家事動線です。炊事や洗濯、掃除などの日常の家事の動線が効率的になるように検討することが大切でしょう。
部屋の広さ
一般的に考えれば、家は広ければ広いほど満足度が上がります。しかし、土地が狭い日本の住宅事情においてはリーズナブルに広い家を建てることは簡単ではありません。
そこで、限られた空間をなるべく広い印象に仕上げるべく、注文住宅においてはリビングの広さにこだわる世帯が多いです。リビングは、家族が集まる大切な空間です。そのため、少しでも広ければ家族それぞれに心のゆとりも生まれるでしょう。
また、広さを考える上での注意点として、人が通るには50cm、人がすれ違うには90cmが必要だということを覚えておくと良いでしょう。
2. 設備
設備は選択肢が多く迷うことが多いので、自分が何を重視するのかを理解して選択しましょう。
キッチン
キッチンは、家の使い勝手を大きく左右します。見た目と機能性の両方にこだわりたいですよね。そこで、そもそもキッチンの間取りには3種類あることをご存知ですか?
リビングダイニングと同じ空間にあるオープンキッチン・キッチンと他の部屋を分ける独立式キッチン・壁などである程度仕切られているセミオープンキッチンの3種類です。
ここからもっと詳しく特徴を見ていきましょう。
<オープンキッチン>
オープンキッチンは、さらに2種類に分けることができます。1つは、作業台がリビングダイニング側に向いている対面キッチンです。そしてもう1つは、壁側に付いている壁付けキッチンです。オープンキッチンの特徴は、リビングダイニングと一体化したワンフロアにあるため、明るく開放感のあるキッチンになることです。
<独立式キッチン>
料理好きで、作業に集中したい方に選ばれるのが独立式キッチンです。独立式キッチンは収納をたっぷり設けることができるため、デザインにも変化をつけやすいです。お気に入りの空間を作ってみてはいかがでしょうか?
<セミオープンキッチン>
セミオープンキッチンの最大の魅力は、キッチンの良いとこ取りができる点です。オープンキッチンで感じられるリビングとの繋がりだけでなく、独立式キッチンで感じられるお籠り感もあるため、両方の良さを体感することができます。
3. 収納
注文住宅の収納率は、15%前後が平均だと言われています。
しかし、床から天井までの収納と腰までの高さの収納ではボリュームが異なることに注意が必要です。収納率の数字だけでは比較ができないということです。後々、十分な収納量がなかった、収納が使いづらいといったことにならないようにしましょう。
そのためには、事前にきちんと計画しておくことが大切です。
具体的には、どのような収納の形を作るのか、収納の位置が重要になってきます。リビング収納やウォークイン玄関収納、ロフトや小屋裏への収納を作ると便利でしょう。
また、収納の位置については、家事動線やドア・引き戸の種類などを考えた上で設置するようにしてください。
4. 雰囲気
家の雰囲気というのは、完成した際にいちばん満足感を得られる部分だと思います。そのため、素材やデザイン、材料にもしっかりとこだわりたいところですよね。具体的には、床材に無垢の木を使うとあたたかみのある家になったり、アクセントウォールといって壁紙の色を一部分だけ変えたりすることで、ナチュラルな雰囲気やゴージャスな雰囲気などイメージをガラリと変えることができます。また、デザインも和風デザインやアンティークなデザインなど様々な設計が可能です。どのような雰囲気にしたいのかをイメージしておきましょう。
5. 住宅の性能
住宅の性能は将来のことを考えると特に重視した方が良いでしょう。年々アップデートされるところなので最新の情報を仕入れるようにしましょう。
省エネ性能
省エネ性能は特に重要になります。これについては、こだわりに関係なく絶対考慮したほうがよいでしょう。
具体的には、太陽光発電を含む、ZEH(ゼッチ)にすべきです。
近い将来「ZEH水準」が新築住宅のスタンダードになるといわれています。それを裏付けるのが2025年以降、「断熱等級4(平成28年省エネルギー基準)」が最低限必要な基準になり、それを下回る新築住宅は建てられなくなるからです。さらに政府は「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」という目標を打ち出し、ZEH住宅の普及を強力に推進しています。
そもそもZEHとは実質的なエネルギーコストがゼロになる住宅(Net Zero Energy House)のことを言います。一般住宅でかかるエネルギーとは、電気・ガスなど指し、大きな比率を占めるのが冷暖房と給湯にかかるエネルギーです。ZEHではこれらの消費エネルギーを抑え、太陽光発電等で自らエネルギーを創り出すことで、実質的にエネルギーコストゼロの住宅を実現するものです。
エネルギーコストゼロを実現するための三本柱は「断熱」「省エネ」「創エネ」です。
「断熱」とは、室内の暖まった空気や冷えた空気を外に逃さないようにすることで、断熱性の高い建物は、冷暖房にかかるエネルギーを低く抑えることができます。
「省エネ」とは、エアコンや給湯器などの設備機器や照明機器などを、いわゆる「省エネ型」の機器にすることで、エネルギーを抑えることを指します。
「創エネ」はその名の通り、太陽光発電や地熱発電などを用いて、自らエネルギーを創り出すことを言います。
この3つの要素を組み合わせて、年間を通じて消費するエネルギー以上に創り出すエネルギーを多くすることを実現したのがZEH住宅ということになります。
さらに最近では、夜間でも再生エネルギーを活用できる「蓄電システム」や、家庭内のエネルギーの使用状況をモニターなどで確認できる「高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)」、電気自動車(EV)への充電設備など、さらにエネルギー効率を高める機器の導入が進んでいます。
そのため、ZEHはスタンダードになっています。つまり、ZEHでない住宅は性能として時代遅れになってしまうのです。
また、ZEH住宅の普及は国の大きな目標であることから、各種補助金の制度が提供されています。ZEHの種類などに応じて数十万円~百万円を超える補助金を受けることができるようになっています。
また、今後電気代や燃料代は大きく値上がりが見込まれるでしょう。下の図をご覧下さい。これは、欧州の5つの経済大国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス)における電気料金とガス料金の推移です。ここから、ヨーロッパではすでに家計を大きく圧迫していると言えるでしょう。
このように日本でもエネルギー費が値上がり続ける可能性もおおいにあります。そのときに備えてZEHを検討することをオススメします。
出典:自然エネルギー財団
耐震性
耐震性も省エネ性能と同様にこだわり関係なく重要なものになります。
耐震性とは、地震が発生したときの揺れに耐えられる度合いのことです。
耐震性が高い家ほど、より大きな地震の揺れにも倒壊や破損がしにくくなります。建築基準法でも耐震性についての基準が定められておりますので、建築の際には一定以上の耐震性を備えた建物しか建設することができません。
また、建物の耐震性を評価する指標として、耐震等級があります。耐震等級は1級から3級まであり、数字が大きくなるにつれて耐震性も高くなりますが、1級以上に該当さえすれば、建設すること自体には問題がなく安心できるでしょう。
防火性
防火性能とは、周辺の建築物から発生した火事の影響を防ぐための性能です。
建築基準法によって定められており、主に外壁と軒裏に防火性の高い材料を用いた構造のことをいいます。特に、都心部で隣の家との距離がほとんどないような場合では、火災が発生するとすぐに近くの家に燃え移ってしまう可能性があります。そこで、防火性能を備えることで、延焼を防ぐことができるのです。
防犯性
家の防犯といわれると、玄関のピッキング(施錠開け)をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、実は、空き巣被害の約6割は、窓ガラスを破って侵入するケースなのです。
そのため、家の防犯性能を高めるためには、防犯用の強固な窓ガラスを備えることや、サッシを二重にするなどの対策が必要になります。
また、そのほかにも玄関のドア鍵も複数設置することや複雑な仕組みの物を使用してみるのも1つの方法です。
加えて、防犯警報装置や、夜間のオートライトなども設置することで、人通りの少ない場所でもしっかりと防犯対策をすることができます。
防犯対策を施すことで100%犯罪を防げるわけではありませんが、被害に合う確率は大きく下げることができるでしょう。
まとめ
今回は、注文住宅で最もこだわるべきポイントはどこかがわかるようにご紹介しました。
暮らしの希望から理想の家を思い描き、譲れないポイントを常に判断基準にすることが注文住宅をつくりあげる上での本質だと理解できたのではないでしょうか。また、絶対にこだわるポイントとして間取りが重要であることが理解できたのではないでしょうか。そして、「設備」、「収納」、「雰囲気」の重要性もご説明しました。その上で、住宅性能として「省エネ性能」は誰しもが重要であることが理解できたのではないでしょうか。また、「耐火性」や「防犯性」も欠かせないことでしょう。
以上のことを踏まえて、あなたは注文住宅で最もこだわるべきポイントはどこなのかを考えましょう。