もうすでに太陽光発電は住宅に必須の設備・その理由とは?
一般家庭に太陽光発電が導入されたのは、補助金や税制優遇措置などが整備され、一般家庭でも太陽光発電の導入が促進されるようになったころからです。近年では、住宅の性能評価制度である「ZEH(ゼロエネルギー住宅)」の普及や、太陽光パネルのコストが低下していることもあり、太陽光発電を導入する家庭が増加して、太陽光発電はもはや普通の建物になっています。
太陽光発電はもはや普通の建物となる
実際に、下の図の円グラフをご覧ください。すでに2018年時点で9%であり、もう現在において特別なものではなくなっています。
今後も太陽光発電はもはや普通の建物となるといえるでしょう。東京都は、2050年「ゼロエミッション東京」の実現に向けて、2030年までに温室効果ガス排出量の50%削減に取り組む「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」を発表しました。
ここで、年間都内供給延床面積が合計2万m2以上のハウスメーカーなどの事業者を対象に、延床面積2000m2未満の住宅など新築建物への太陽光発電など再エネ設備の義務付け・誘導などを行うことになったのです。つまり、東京都は、太陽光パネルの設置義務化され、2025年4月施行になるのです。
また、経産省では、「今後、中小工務店による住宅や建売住宅のZEH比率を大幅に高めつつ、約半分に太陽光を導入することで、大手ハウスメーカーの注文住宅と合わせて、全体で約6割に太陽光を導入することを目指す」としています。
このことからも太陽光発電がごく一般的なものとなるといえるでしょう。
太陽光発電はZEHを実現するに不可欠
ZEHとは
ZEHとは、エネルギー収支をゼロ以下にする家のことを指します。つまり、家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家ということです。
これを実現するためには、使用するエネルギーの量を大幅に減らすことが必要となります。とはいっても、暑さや寒さをガマンするというわけではありません。ZEHは、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで、夏は涼しく冬は暖かいという快適な室内環境をたもちながら省エネルギーをめざすのです。
これから住宅の基本はZEHになります。ZEHが注目される背景には、住宅でのエネルギー消費量の大きさという問題があります。エネルギー消費といえば企業や工場などが注目されがちですが、実は、日本国内の全エネルギー消費量の13.8%を住宅が占めています。住宅での省エネをより進めることができれば、全体のエネルギー消費量にも大きなインパクトがあり、ハウスメーカーや工務店などは自社のZEH商品を導入しやすくなったのです。
更に、2021年度からは、2030年目標の達成に向けて、2020年度のZEHの供給実績に応じて、ZEH化率が50%を超えている場合は75%以上を、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として宣言・公表した新たな「ZEHビルダー」制度の運用を開始しました。
価格も手頃になってきた
下の図をご覧ください。2012年には1kWあたり平均43.1万円だった新築物件における設置費用が、2021年には28万円にまで下がっています。仮に容量5kWの太陽光発電の導入を想定すると、2012年の設置費用は平均215.5万円だったのに対し、2021年の設置費用は平均140万円で、75.5万円も安くなった計算です。
ただし、太陽光発電の容量を上げると、その分ソーラーパネルの枚数が増えます。屋根の向き、形状や種類によっては設置方法に工夫が必要になります。たとえば、南側の屋根だけでなく東側の屋根にもソーラーパネルを設置する場合や、瓦屋根で特殊な取り付けが必要になる際などは当然、その分だけ工事費用もかかります。
とくに新築時の価格は手頃といえるでしょう。
2021年の新築の設置費用が平均28.0万円なのに対し「既築」、つまりリフォームの際に設置する場合は平均30.2万円と高くなっています。
新築時に太陽光発電を設置する場合は、着工前であれば新築工事に合わせて設計でき、電気配線や屋根での工事も新築工事と同じタイミングで行うことで工事費用を安く抑えることが可能です。それに対してリフォームの場合は、新築時のメリットがない分高くなっていることが考えられます。
出典:東京電力
普及の理由はエコではなく経済性に優れているから
太陽光発電を設置している家が急増しているかというと、環境にやさしいから、というのもありますが、ほとんどの方は「経済性に優れているから」という理由で導入しています。
結論から申し上げますと、投資費用が約10年程度で回収できることになります。売電収入-初期費用-設置後の光熱費+設置前の光熱費で求めることができるでしょう。
電気は売るのではなく使う
電気は売るのではなく使うことを想定しましょう。
下の図をご覧ください。毎年売電価格は下がっています。売電価格は毎年1~3円減額されています。すでに売電価格は、電力会社からの購入電力の価格を下回っているケースがほとんどです。
つまり、発電電力は「自家消費」「家庭用蓄電池への充電に充当」した方が、経済メリットは高まります。
◆ 2023年度(令和5年度)の売電価格
・10kW未満:16円/kWh(税込み)※一般的な家屋の屋根に設置した場合この設置容量となります。
出典:https://www.taiyoko-kakaku.jp/archives/3657.html
◆東京電力の料金プラン
上の図からも販売した場合は令和4年は17円/kWhで、東京電力から買う場合は20.80円/kWhなので電気は売らないで使ったほうが得になるとわかるでしょう。
太陽光発電のメリットはこれから更に大きくなる
電気代が高騰している
2021年から急速に電気代は値上がりしています。下の図をご覧ください。 これから更に値上がりが考えられます。 天然ガスが大きく値上がりし、需要も増えていることから今後さらに電気代は値上がりすることが必至になるでしょう。
また、自動車のEV化が急ピッチで進んでいます。今後は、EV車が主流になるといえるでしょう。電気自動車も充電するとガソリン代が不要になり更に経済性が高まるといえるでしょう。電気代とガソリン代の両方を節約出来れば、家計的にも大幅に負担が減らすことができます。
経済性以外の太陽光発電のメリット
停電しても電気を使える
2021年9月に発生した台風15号は、千葉県を中心に大きな被害をもたらしました。この台風による千葉県の停電は、過去最大規模の停電となりました。
台風15号による停電は、千葉県の約90万世帯に影響を及ぼし、ピーク時には約93万世帯が停電したと報じられています。停電の復旧には、最長で約2週間かかるとの見通しも出されました。
停電によって、生活に必要な電気が使えなくなり、食料や飲料水、医療機器などの供給に支障をきたしました。また、停電によって交通機関が混乱し、ライフラインの一部が寸断されたことで、被災地域での生活は一時的に混乱しました。
このような大規模停電の際に電気を使えることは大変助かります。
停電によって冷蔵庫や冷凍庫が停止すると、保存食料や医薬品の劣化や腐敗が進んでしまいます。しかし、電気が使えると、食品や医薬品の保存が可能となります。
また、停電によってラジオやテレビが使えなくなると、情報収集が困難になります。しかし、発電機やバッテリーを使って電気を供給することで、ラジオやテレビの運用が可能となり、最新の情報を得ることができます。そして、携帯電話やパソコンの充電が可能となり、電話やインターネットを使って連絡を取ることができます。
蓄電池を併用すると更にメリットが
蓄電池を併用すると発電していない時間も電気が使えて更によいといえるでしょう。停電時に備えて、蓄電池を事前に充電しておくことで、非常時に備えることができるのです。蓄電池によって、余剰の電力を貯蓄し、必要なときに放電することで、電力需要のピーク時でも安定した電力供給が可能になります。
電気自動車は蓄電池を内蔵している
電気自動車は、電気で動くモーター、電気を蓄えるバッテリー、動きを制御するコントローラーの主に3つで構成されています。ガソリン自動車と違い二酸化炭素の排出がないため、環境に優しい乗り物として注目を集めているのです。
電気の力で走る自動車には、全て電気の力で走る「電気自動車(EV)」、電気とガソリンを組み合わせて走る「ハイブリッドカー(PHV)」の2種類があります。電気自動車(EV)は、100%電気の力で走る自動車で、自動車専用の充電設備にプラグコンセントで自動車をつないで充電します。充電設備を自宅に備えることで、たとえば自動車を使用しない夜間などの時間帯に自動車を充電し、翌朝充電が完了した状態で乗ることができます。一方で、ハイブリッドカー(PHV)は、電気とガソリンを併用して走る車です。主な動力は、今のところガソリンの割合が高く、電気モーターは走り出しのときなどに補助的な役割をしているものが多いです。
しかし、車種によっては、電気モーターで走行できる割合が大きくなっているものもあり、近距離ならほぼガソリンを使わずに済むような車も出てきています。
電気自動車にはさまざまな種類があり、車種の選び方や使い方によって、ランニングコストをかなり抑えられるのです。
また、電気自動車は環境に優しい車ということで、補助金制度が充実しています。購入した車種によって受けられるもの、各都道府県で受けられるものなどがあり、複数の補助金制度を同時に利用することも可能です。
国や地方自治体などが電気自動車(EV)の普及を促進するため、補助金を設けています。以下に代表的な3つの補助金について説明します。
一つ目は、「国の補助金」です。国の補助金として、『エコカー補助金』があります。これは、EVを含めた低燃費車やハイブリッド車など、環境性能の高い車両を購入する際に、一定額の補助金が支給される制度です。支給額は車種や条件によって異なりますが、最大で30万円の補助金が支給される場合があります。
二つ目は、「地方自治体の補助金」です。地方自治体でも、EVの導入を促進するための補助金が設けられています。支給額は自治体によって異なりますが、車両の購入補助金や充電スタンドの設置補助金などがあります。
三つ目は、「メーカーの補助金」です。一部の自動車メーカーも、EVの導入を促進するための補助金を設けています。これは、車両の購入に対して直接支援する形式が一般的です。
国や自治体、メーカーなどがEVの普及を支援するため、補助金を設けています。補助金の支給条件や支給額は、年度や地域によって異なるため、詳細は各種公式ウェブサイトや販売店などで確認することが必要です。
また、とくに注目したいのは、電気自動車が自宅の太陽光発電パネルとの併用により蓄電池としての役割も果たすことです。
さらに、電気自動車を充電するようにすると、ガソリンスタンドが機能していなくても移動が可能になり、災害時でも車が使えることがよいといえるでしょう。
これに加えて、スマホのバッテリーと違って容量が大きく、最近の電気自動車はバッテリーが劣化しにくいです。8年または160,000km保証がされているメーカーが多いのです。EVを購入する際には、念のためバッテリーの保証について確認し把握しておくのがおすすめになります。
まとめ
今回は、「もうすでに太陽光発電は住宅に必須の設備・その理由とは?」についてご紹介しました。
一般家庭における太陽光発電の導入が促進されるようになったのは、補助金や税制優遇措置が整備されたころからです。近年では、「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」という住宅の性能評価制度の普及や、太陽光パネルのコストが低下していることもあり、太陽光発電を導入する家庭が増加し、太陽光発電はもはや普通の建物になっています。
今後も太陽光発電は普及し、東京都では「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」が発表されています。また、経済産業省では、「今後、中小工務店による住宅や建売住宅のZEH比率を大幅に高めつつ、大手ハウスメーカーの注文住宅と合わせて、全体で約6割に太陽光を導入することを目指す」としています。
太陽光発電はZEHを実現するために必要不可欠な設備であり、ZEHはエネルギー収支がゼロ以下になる家を指します。ZEHを実現するには、家全体の断熱性や設備の効率化を高めることが必要であり、快適な室内環境を維持しながら省エネルギーを実現することが目指されています。今後、ZEHが住宅の基準となることが予想され、太陽光発電はますます一般的な設備となることでしょう。