満足できる家を建てるため最低限知っておきたい基礎知識

家を建てることは人生にとって大きなできごとです。

せっかく家を建てたのに、事前の基礎知識が足らず失敗してしまい、住み始めた後で後悔することは避けなければなりません。

そこで、満足できる家を建てるために、最低限これだけは知っておきたいという基礎知識についてご紹介します。

この記事は約9分で読めます。

  1. はじめに
  2. ライフステージの中においていつ家を建てるべきか
  3. 建売と注文住宅
  4. パートナー選びの重要性
  5. 予算
  6. 家を建てるまでの主な流れ
  7. まとめ

1.はじめに

家を建てるときには、住む方のこだわりなどを詰め込んでいきたいと考えるものですが、実際に住んでみると満足できず後悔してしまうこともあるようです。

しかし家が完成していない段階で住んでいる状況をイメージすることは容易ではなく、いざ住み始めてみたら不便な設計だったということになりかねません。

そのためどのように家を建てていくことになるのか、その流れや予算の考え方、後悔しない満足できる家を建てるために何が重要か押さえておきましょう。

2.ライフステージの中においていつ家を建てるべきか

家を建てたいと考えたとき、本当に今がそのタイミングとして適しているのか、判断に迷ってしまうものです。

社会情勢や景気、不動産市場・相場なども気になるでしょうし、住宅ローンを利用するときには年齢や収入など問題ないか不安もあります。

そこで、次のことを踏まえた上で、いつ家を建てるべきか判断するようにしましょう。

一般的な家を建てたくなるタイミングとは

20~30代が家を建てたいと考えるきっかけで多いのは、結婚や出産などのライフイベントです。他にも子どもが増えたときや、新入学などに合わせて購入する方もいます。

いずれにしても早い段階で家を建てておけば、住宅ローンも早めに返済を終わらせることができるでしょう。

それに対し、40~50代の場合には、住宅の質を向上させたいという理由や老後のためという理由が多くなります。中には高齢になった親と同居することになったため、新たに家を購入するというケースもあるようです。

住宅ローンの返済期間は最長35年ですが、40~50代であれば十分な頭金を貯めることができていることも多く、毎月の返済負担も重くなりにくいといえます。

予算の見積もりは重要

たとえば注文住宅の場合、世帯年収は700~800万円が平均となっていますが、地方よりも首都圏のほうがより慎重な資金計画が必要となります。

まずは無理のない返済が可能となる家の価格はいくらなのか、予算を決める上で次の流れにより算出してみましょう。

 ①毎月返済可能となるできる金額を計算する

 ②今後働き続けることができる年数から借入期間を見積もる

 ③金融機関の住宅ローンを複数ピックアップする

 ④金融機関ごとの住宅ローンのシミュレーション機能により返済計画を確認する

なお、家を建てるときに必要な資金は、土地購入の有無や住宅の種類・広さなどにより異なります。

たとえば土地を購入し注文住宅を建てる場合には、4,200~4,700万円が購入資金としてかかることが多いようです。 また、家自体を購入するための代金だけではなく、購入費用の1割程度を諸費用として支払うことになります。仮に予算総額が4,000万円の場合、別途400万円ほど必要になると留意しておいてください。

▼将来のことを踏まえた検討が必要

家を建てる時点での家族構成や地域情報だけでいろいろなことを決めてしまうと、将来的に住みにくい家になってしまう可能性も出てきます。

未来のことまで分からないと考えてしまうものでしょうが、いろいろな可能性を視野に入れて検討することが必要です。

たとえば子どもが増える予定があれば、家が狭くならないか考えなければなりませんし、いずれ子どもが独立した後のことも考えることが重要になります。

3.建売と注文住宅

家を建てる方の中には、土地と住宅がセットで販売されている建売住宅と、注文住宅のどちらがよいか迷うこともあるでしょう。

建売住宅でも大規模な開発で分譲されている家なら、住宅の外観も統一されていて街並みも美しく形成されることも多いようです。

ただ、自分だけの理想の家を建てたいという場合には、注文住宅を選んだほうがよいと考えられます。

▼注文住宅とは何か

購入した土地、またはもともと所有していた土地に、自由に設計し建築する一戸建て住宅が注文住宅です。

注文があってから作る住宅であり、家の広さや間取り、階建てや価格などを自由に決めることができることが魅力といえます。

キッチンのレイアウトやお風呂の設備仕様、外観や内装のデザインなど細かい部分までこだわりながら注文できます。

家に対して強いこだわりがあり、自分の思い描く理想の家を作りたいなら、イチから注文する注文住宅がおすすめです。

▼建売と注文住宅のメリット・デメリット

建売住宅と注文住宅、それぞれのメリットとデメリットは次のとおりです。

建売住宅注文住宅
自由度期待できない高い
仕上がりのイメージつきやすいつきにくい
工程の確認完成している場合は不可可能
コスト同じ家を注文住宅で建てるときよりもコストを抑えることが可能コストをかける部分とそうでない部分の選択が可能
プロセス土地・建物を一括購入のため短期間での入居が可能土地購入を先行し、その後設計・建築という流れのため、時間がかかる
契約内容建売住宅の売主と売買契約を締結する土地の売主と売買契約を締結し、注文住宅の施工会社と工事請負契約を結ぶ
建築士に設計を依頼する場合は、設計契約も必要
資金計画土地・建物の一括購入のため資金計画が立てやすい先に土地代金を支払うことが必要であり、工事費用も着工・上棟・竣工に分けて払うなど、複雑な資金計画になりやすい

4.パートナー選びの重要性

自分の理想の家を建てるため、注文住宅で一戸建てを建築しようと決めたものの、ハウスメーカー・工務店・設計事務所(建築士)のどの業者に依頼すればよいのか迷ってしまうものでしょう。

依頼する住宅会社により、採用する工法や構造なども異なり、さらに契約の流れなども違ってきます。

どの業者に依頼しパートナーになってもらうかが最も重要なポイントとなるため、それぞれの住宅会社の特徴を理解しておくようにしましょう。

▼業者の種別

家を作ることを目的とするのなら、ハウスメーカー・工務店・設計事務所(建築士)のどれも大きく異なる部分はないと考える方もいるようですが、実際には次のように大きな違いがあります。

大手ハウスメーカー

広範囲な営業網を保有する大手住宅メーカーであり、部材生産・設計・施工まで工場生産化率を高めシステム化されていることが特徴です。

CMや広告なども大々的に行うなど、知名度の高さでは工務店や設計事務所と比較すると、格段に高いといえます。

仕入れや建築コストを抑えることを実現させている反面、広告宣伝費や営業経費が多くかかるため、これらの費用が坪単価に含まれて割高な価格となって提示されることもあります。

モデルハウスやカタログ資料などが充実しているなど、完成後のイメージが浮かびやすいのは強みです。ただしハウスメーカーの設計の自由度は、自由設計ではあるものの認可を受けた型式適合認定やハウスメーカーごとの規格の範囲内に限られます。

地場工務店

地元を中心に活動し住宅を建てている会社ですが、中には複数の都道府県にまたがって営業を展開するなど、規模の大きな工務店もあります。

一般的には狭い営業エリアで、地域に密着した活動を行っていることが多く、困ったことがあったときにも素早く対応してもらえるのが魅力です。

施主が希望する条件に合わせた設計・施工が特徴ですが、伝統的な木造軸組工法などが多くなり、業者ごとに得意分野も異なってきます。

ただハウスメーカーのように広告宣伝を大きく行うことがないことと、営業所の規模も小さいため、坪単価も安価に設定されていることが多いといえます。

注意したいのは規模の小ささから、倒産リスクも踏まえて選ぶことが必要という点です。

設計事務所

ハウスメーカーや工務店は家を建ててもらう依頼先ですが、設計事務所は設計を依頼する建築士が所属する事務所です。

間取りを設計し、材料をできるだけ安く仕入れ、職人に依頼して家を建てるという流れで必要なことを、代わりにやってくれるのが建築士といえます。

すべてを1から組み立て作りあげることが設計事務所の特徴です。

ハウスメーカー地場の工務店設計事務所
価格(坪単価)40~65万円45~60万円55~75万円
工法
外観
間取り
工期3~6か月4~6か月4~6か月
保証

5.予算

▼建築費の目安

▼諸費用の目安

▼こだわるべきポイントの考え方

6. 家を建てるまでの主な流れ

実際に家を建てるスケジュールは、依頼した相手がハウスメーカーと工務店、どちらの場合でもそれほど大きな差はなく、次のような流れで物件引き渡しまで進んでいきます。 なお、相談から物件の引き渡しまでの期間は、おおよそ次のとおりです。

  • ハウスメーカー…6~10か月程度(工期は3~6か月)
  • 工務店…6~12か月(工期は4~6か月)
  • 設計事務所…8~14か月(工期は5~7か月)
相談からお引き渡しまでの流れ

▼注意点

家を建てるときの流れにおいて、次のことには注意しておくようにしてください。

知人に頼むと本当に安いのか

たとえば知り合いに大工をしている職人の方がいる場合、直接仕事を依頼すれば建築費を安く抑えることができると考えがちです。

しかし実際には費用が高くかかった上に、トラブルが発生したという話もめずらしくありません。

まず個人では材料を安く仕入れることが難しいこと、そして専門外の分野の作業は外注の依頼が必要になるため、費用を安く抑えることができない場合もあります。

また、建築工事は現場管理が重要ですが、適切に行われておらずトラブルが発生するケースもあるようです。

さらにグリーンポイントやエコポイントなど、補助制度の申請を行わない大工職人に依頼してしまうと、建築費用は高くなってしまいます。

モデルハウスの見方

住宅メーカーなどの展示用の住宅をモデルハウスといいます。

複数の住宅メーカーが参加している住宅展示場や分譲地の一画などに設けられることが多く、商品説明のために特徴ある仕様で住宅が再現されます。

建物の実物を見ることができ、構造・基礎や断熱性能などについても展示スペースで確認可能です。

ただ、販売促進を目的としているため、通常の仕様にオプションを追加したグレードの高い家を建てていることが多いといえます。

そのため標準の建物価格より価格が高くなっていることが多いため、気になった部分はオプションなのかそれとも標準なのか確認しておきましょう。

なおモデルハウスでは上質感溢れる暮らし方が提案されるため、どのようなインテリアを選ぶとよいのか、リビングダイニングの配置や使用するとよい照明などいろいろなことを参考にできます。

気に入った箇所や参考にしたいインテリアがあれば、撮影しておくと良いでしょう。

危ない建築業者の見分け方

家を建てることは一生の中でも一大イベントです。そのため、安心して家づくりを任せることができる建築業者を選びたいものですが、次のような業者は危ない建築業者と考えられますので避けるようにしましょう。

相見積もりに参加しない

家を作るときにどのくらいの資金が必要なのか、どの建築業者に依頼すれば予算内におさめてくれるか、費用の相場を知るためにも相見積もりを取得することをおすすめします。

そのため、建築業者と商談するときには、事前に相見積りを行うことを伝えておき参加してもらうように依頼しましょう。

通常なら快諾してもらえるはずですが、二度と営業に来なくなる建築業者の場合、何か相見積もりを取得されると不都合なことがあると考えられます。

また、見積書を提示してもらった場合にも、記載されている専門用語についてわかりやすく丁寧に説明してくれる建築業者のほうが安心です。

完成保証制度の有無

完成保証制度とは、建築業者が工事の途中で倒産してしまった場合、第三者機関が窓口となり他の建築業者を派遣し工事を続け、すでに支払った資金も補填してくれる制度です。

家が完成するまで保証してくれる制度ですが、建築業者側が事前に加入していなければ保証されません。そのため、完全保証制度の有無については確認しておくようにしましょう。

営業マンやモデルハウスの対応が悪い

建築業者の営業担当者の対応や態度が悪いときや、モデルハウスが汚れている場合は要注意です。

わからないことを営業担当者に質問しても、はぐらかされたり答えてもらえなかったりすれば、信頼関係を築くことはできません。

モデルハウスの維持管理が適切に行われていないのも、会社または担当スタッフの管理能力が低いと考えられ、家の建築を安心して任せることはできないといえるでしょう。

7.まとめ

今が家を建てるタイミングだと判断し、自由度が高い注文住宅を選ぶなら、ハウスメーカー・工務店・設計事務所のどこに依頼するのかを決めなければなりません。

相談から引き渡しまでのスケジュールが異なるため、それぞれの特徴を理解した上で自分に合った建築業者を見つけ依頼するようにしましょう。

信頼し任せることのできる建築業者選びこそが、満足できる家を建てることで欠かすことのできない条件です。