注文住宅を建ててから後悔した感想から学ぶチェック項目

注文住宅では、発注者の希望やニーズを決められた予算内でどのレベルまで具現化できるかで満足度が大きく左右されます。依頼を受けたハウスメーカーや工務店などの力量や仕事への取組み方によっては、同じ費用をかけても完成度が違ってしまいます。

また、発注者の意図する『住みやすくてステキなマイホーム』の尺度もまちまちですから、本人が良いと判断する住宅を造れる建築業者選びが重要です。

とは言いましても、どの業者が発注者の望む良い家を建てられるのかを判断することは困難でしょう。

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  1. はじめに
  2. 注文住宅で失敗しないためのコツ
  3. 失敗したという感想から学ぶチェック項目
  4. まとめ

1.はじめに

夢のマイホーム!家族全員が幸せな生活を送るためには、建売住宅やマンションよりも注文住宅の方がより理想的なマイホームの実現へと近づくでしょう。

ですが、昔から『家は3回建てないと本当に満足のいくものにならない。注文住宅にするなら少なくとも2回の失敗が必要』だとよく言われます。ですが、マイホームは人生で最も高価な買物、ほとんどの人が人生で1回きりのマイホーム購入となるでしょう。初めて家を建てるのですから、建てた後で何かしら悩むのも無理からぬことかもしれません。

この教訓が教えることは、快適な住まい造りは過去の失敗に学ぶこと。家族みんなの生活が豊かになる家造りは、より多くの失敗例から学ぶ必要性を説いています。つまり、一度目の注文住宅で満足度を高めるために、他の人の失敗例を数多く分析して注文住宅のノウハウを得ておくことが成功のカギとなります。

注文住宅で最も大切なポイント

注文住宅で成功するカギは、まず建築業者選びです。テレビや新聞、ネット広告で大々的に宣伝している大手のハウスメーカーであれば、建築デザインの技術もセンスも最先端のレベルで、ある程度は満足のいく家を建てられるかもしれません。

あるいは知名度の高い建築士が経営する小さな設計事務所であれば、ピンポイントで発注者の希望を余すことなく叶えられる可能性もあるでしょう。地元で評判の工務店では、その地域の街並みや風土、自然環境にマッチした家造りができるかもしれません。

どの業者に頼むにしても、建築業者の情報収集を徹底するようにおすすめします。

注文住宅でよくある業者選びの失敗例は次の2つです。

友人・知人の紹介で建築業者を選ぶ

友人・知人の紹介ということで、予算と大まかな希望だけを述べ、細かな打ち合わせもせずに業者の提案を鵜呑みにしてしまうケースよく見られます。中には、知人から良い業者だと紹介されたために、言いたいことが言えないケースもあるので注意してください。

割安料金の建築業者ばかり候補に挙げてしまう

注文住宅としては割安な料金を提示している建築業者ばかりを候補に挙げてしまうのも問題です。もともと注文住宅では既成のデザイン・建築手法を用いません。原則として建売住宅よりも割高になります。

安いことを強調する建築業者の中には、流行遅れのデザインや建築技術を提案したり、粗悪な建材を使ったり、見えない部分で手抜き工事をしたり、発注者の要望をあまり聞かずに注文住宅を建ててしまうといったリスクがあります。

注文住宅を建てる業者の種類について

注文住宅を請け負う建築業者にはいくつかの選択肢があります。主な依頼先としては、地場工務店・大手ハウスメーカー・建築士(設計事務所)の3つです。それぞれに利用メリット・デメリットがありますから、業者選びを始める前に確認しておいてください。

地場工務店

地元に密着した工務店は、何よりも地域での信頼と実績を大事にしています。もし、発注者の不満やクレームが出てしまうと、それが原因で地域に悪評が広がって受注率が落ちてしまいます。

この点で、持てる技術を駆使して、丁寧に家造りをすることでしょう。なお、広告費などの間接費があまりかからないので、住宅本体に多くの予算を使うこと、アフターサービスが充実している点がメリットです。

その一方で、注文住宅としてのデザイン性や建築技術、使用する建築機材のレベルが大手ハウスメーカーよりも低い場合があります。発注者が求める家造りが可能かどうかの判断が必要でしょう。また建材の調達コストが高いなど、建築費用が割高になる可能性もあります。

ハウスメーカー

大手ハウスメーカーは自社で立ち上げた規格のレベルが高く、デザイン力・技術力・建築機材も最先端ということで、どのような注文住宅にも柔軟に対応できるメリットがあります。またアフターケアも含め、会社の倒産リスクが低いので安心して依頼できるでしょう。

デメリットとしては、あくまでも規格の範囲内で受注する傾向が高く、発注者のニーズに丁寧に対応するとは限りません。また、規格外の注文は特別料金となり、こだわりが強い家造りの場合は割高になるでしょう。また、大手は広告費や会社維持といったコストがかさみます。そういった間接費が料金にプラスされることも知っておくべきでしょう。

建築士(設計事務所)

建築士が手掛ける住宅では注文住宅の割合が高いので、その点で注文住宅のスペシャリストと言えるでしょう。実績と評判のある建築士は、予算内で可能な限り発注者の希望が叶うと期待できます。しかも、斬新なアイデアで、ハウスメーカーや工務店では表現できないような家造りが可能です。オーダーメイドの完成度という点では、3つの中で最もおすすめです。

ただし、建築者が得意とするデザインや建築手法が限定される点に注意してください。これは工務店でも同様ですが、必ずしも発注者の望むようにはならない可能性もあります。また、建築コストの面で割高になりがちです。システムキッチンやクローゼット、浴室など、自作で作ることが多いために建築費がかさむことも理解しておきましょう。

2.注文住宅で失敗しないためのコツ

注文住宅のメリットは、家族全員の希望やニーズを事細かく具現化することができること。ですが、予算は限られていますし、ひとつの家で表現できるデザインや空間や機能は無制限とはなりません。

注文住宅で失敗しないためには、ぜひ次の3つの点を心にとめておいてください。

さまざまなサンプルを参考にこだわりポイントを考える

いざ注文住宅を建てると決心したとき、具体的にどんな家を建てるのかで大いに悩むことでしょう。もちろん、それまでにいろいろと理想のマイホームについて空想したり、下調べをしたり、モデルルームや実際の住宅などを内見してサンプル収集もしてきたことでしょう。

そこで注文住宅を決心したら、次にこだわりポイントを意識しながらサンプルチェックをはじめましょう。情報収集は徹底するのが肝心で、情報収集量が少ないと後悔する項目が多くなることをしておいてください。漠然としたこだわりではなく、具体的なこだわりポイントを見つけるように努めてください。

注文住宅のチェックポイントは次の通りです。ひとつは、求める家のサイズやデザイン、内外装や各設備のおおよそのレベルに対する費用相場を確認します。これによって用意する予算が絞れますし、反対に予算から希望する内容のレベルを考えることもできます。

次に、既存する注文住宅のサンプルを数多くチェックしましょう。一般的な建売は良いサンプルになります。安価で使いやすい工夫が随所にみられるので、実際に内見で確認してみましょう。その際に、システムキッチンのサイズや機能をノートに書き出し、本人や家族が料理する様子をシミュレーション(生活全般をシミュレーション)します。すると、細かな部分でのこだわりが出てきますので、それをこだわりポイントとしてまとめていきます。バスルームもリビングも玄関も、一通りポイント整理をしましょう。

こだわりポイントに優先順位をつける

夢のマイホームを造るのですから、まずは家族の一人一人がぜひ叶えたい希望をリストにすると良いでしょう。そのリストをもとにして、家族全員で優先順位を決めておくと希望に近い注文住宅が完成します。

なお、優先順位はキッチリと付けることが肝心です。家造りの予算には限りがありますし、敷地の広さや形によって可能な間取りや設備も限定されます。ですから、まずは発注者が実現させたい項目に順番を付けて、それをもとに建築業者へ注文住宅を依頼しましょう。

希望やニーズを専門家とよく相談する

発注者のこだわりポイントに優先順位をつけ、それを業者の設計担当者へ伝えますと、設計担当者は予算と自社の規定や技術の範囲内で妥当なプランを造っていきます。

ここで大事な点は、夢と現実のギャップを埋める作業です。設計担当者は、あらかじめこだわりポイントを伺った上で注文住宅プランを提示していきます。その提案はとても現実的なものですから、発注側も真摯に考慮するべきでしょう。

仮にこちらの希望と違った提案でも、『なぜそうなるのか、どうすればより希望に近づけるのか』を丁寧に相談すると良い解決策が得られます。もちろん、納得のいくまで話し合うのは言うまでもありませんが、専門家の提案には耳を傾け、その上で理想の家造りができるように話し合いましょう。

3.失敗したという感想から学ぶチェック項目

では、実際に注文住宅を購入した方々の失敗例をいくつか挙げていきましょう。設計上の項目別に失敗例を紹介しますので、その原因などを考慮しながら参考にしてみてください。

間取り

注文住宅はまず間取りから、予算によって土地の面積や建坪が限定されますので、その範囲で効率良く間取りを計画しなければなりません。間取りは生活しやすくて、癒しが得られる空間造りを前提に考えると良いでしょう。

基本としては家事動線と生活動線をリアルに考えて、家族でシミュレーションしながらまとめていきましょう。

子供部屋の場所

リビングを南向きに大きく添えると、寝室は東側や北側になりがちです。よくある失敗に、子供部屋をバスルームやトイレなど水回りの隣にしてしまうことがあります。小さな子にとって、夜間に水を流す音は非常にうるさいもので、安眠の妨害になるといった失敗例が多々見られます。

スペース節約で使い勝手が悪くなる

都市部では土地が高いので、狭小住宅になるケースがあります。この際に、バスルーム・脱衣所・洗面所・トイレをギュウギュウに詰め込んでしまい、朝の洗面やシャワーで家族が込み合ってしまうといった失敗例が目立ちます。

中にはバスルームにトイレを設置するケースもあり、家族の人数が多い場合は非常に使い勝手が悪くなるかもしれません。できれば、バスルームもトイレも脱衣所も洗面所も独立させると居住性が高まります。

限られた空間を無駄使いする

逆に、玄関からの生活導線が悪くて無駄な廊下を作ったり、内壁が多くて開放感を損なったり、クローゼットや押し入れのせいで部屋が狭くなったりと、居住性を低下させる間取りにも要注意です。家族が憩うリビング・キッチンダイニングは広めに設計して、日差しや風通しが良い、開放感を重視した間取りは住みやすいでしょう。

それから、一階の水回りに洗濯機を置いて、2階のベランダに物干し場を設ける間取りもよくある失敗例ですし、窓の外に隣の家の窓があるという失敗例もあります。

二世帯住宅は賃貸・売却も視野に入れる

最近は、二世帯住宅にする注文住宅が増えています。ただし共有部分が多い間取りですと、親世帯が老人ホームに入るなどして空き家になった場合、賃貸することも売ることも難しくなるので注意してください。

資金面

注文住宅の見積もりには、いろいろなオプション工事が設定されていることがままあります。ワンランク上の出来映えを求めて、それでオプション価格が追加されていて予算オーバーになる失敗が目立ちます。

また、注文住宅では最初の見積もり通りには終わらないケースが多々あり、建築工事が始まった後で予定変更をして費用が高くなる失敗もあります。

新居では建築費以外にもいろいろとお金がかかりますが、その費用が用意できないために、無理やり組んだローンで返済が大変なことになる心配もあります。

土地選び

『マイホームなら自由が丘か武蔵小杉が良い!』などと、憧れの街に住んでみたいという希望はどなたにもあるものです。ですが、建築費用とあわせて生活コストを考慮して土地選びをする方が良いかもしれません。

通勤・通学が不便

最近は、二世帯住宅にする注文住宅が増えています。ただし共有部分が多い間取りですと、親世帯が老人ホームに入るなどして空き家になった場合、賃貸することも売ることも難しくなるので注意してください。

4.パートナー選びの重要性

人気のある街は地価が高いため、土地購入に予算がとられて望むような住宅が建てられないなどの失敗例があります。反対に地価の安い土地に飛びついてしまい、騒音や衛生環境や治安が悪いと後悔するケースもあります。

そこで、希望の路線以外でも幅広く土地探しをして、実際に現地の様子をしっかりと情報収集するようにおすすめします。

庭・外構

せっかくの注文住宅ですから、余裕のある癒し空間にしたいものです。ですが、都市部では土地が狭くて高いため、庭が確保できないケースが多々あります。

マイホームが駅から遠くてマイカーが必要なのに庭に駐車スペースが作れない、カーポートの場所が悪くて南向きの窓が日陰になるといった失敗例があります。

また、庭に外構がないので雨が降ると水たまりになること、玄関前の階段がきつくて危ないといった問題を抱えることもあります。

設備

吹き抜けのせいで家の中が寒い

セレブ風でオシャレなマイホームには、リビングや玄関などに吹き抜けを設けて、解放感と明るい屋内を演出しますが、北国など寒い地方は冬場寒くて耐えられないといった失敗があります。

備え付けの家具や設備が使いにくい

立派なシステムキッチンを作ってもらったのに、高さが合わずに料理がしにくいことがあります。同じように、玄関の上がり框が高くて高齢者の方に使いにくいケース、間接照明がテーブルやテレビなどの陰になるケースもあるでしょう。

また、意外と厄介なのがコンセント不足です。家電が集中するリビングやキッチン、洗面所など、コンセント不足でタコ足配線だらけになったり、家電の陰になって使いにくいなどの問題もあります。

防音・防振動対策が不十分

注文住宅を造る過程ならば、家でピアノなどの楽器演奏やオーディオルームといった防音対策をしておきたい部屋があるものです。最近はテレワークも盛んですから、そのための防音・防振動の対策をしそこなう失敗もあります。

高齢者対策が不十分

高齢の方や小さなお子さんが使いやすいようにバリアフリーにするなど、自動で洗浄&蓋の開閉をする温水洗浄便座、バスルームの床の安全性、手すりの配置に安全な階段、防犯カメラの設置などは注文住宅ならではの利点です。この点が不十分ですと、後で悔やむことがあります。

収納スペースの不足

クローゼットや大容量の下駄箱、衣替え用の収納スペースと、家族の人数が多い場合は収納場所の確保で、間取りが窮屈になってしまうという失敗が目立ちます。

そこで注文住宅では、収納スペースは縦方向で確保すると良いでしょう。床下や階段下、ロフトや屋根裏を随所に設置して、利便性の高い大収納を実現してください。

その他にも、開口部が小さくて、昼間でも暗い場所ができてしまうケースや、エアコンの台数が多すぎる、少なすぎるといった問題もあります。外壁の色が周りの風景に調和していないなど、汚れが目立つといった失敗もあります。

4.まとめ

夢のマイホームを家族のこだわりで作り込めるのが注文住宅のメリットです。しかし、十分な情報収集と建築業者との綿密な相談がなされていないために、思わぬ失敗をしてしまうケースがよく見られます。

家族みんなが満足のいく理想のマイホームに近づけるために、ここでお話しした注文住宅の失敗例をご参考ください。

※参考サイト一覧

https://ouchi-iroha.jp/house-12-11974#1

https://ouchi-shiawase.jp/sippai/#3-3

https://www.seibu-k.co.jp/blog/2017/07/11/order-house-experiences/

https://cufornc.com/164/#i-3

https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00536/