家を建てる会社はどんな種類がある?違いは?どこに頼むのがいいのか?
せっかくマイホームを建てるのですから、家族みんなが安心して快適な生活が送れる住まいにしたいもの。
家族みんなで話し合って決めたマイホーム、大きな窓からたっぷり日光が差し、夏は涼しく冬は暖かで、三角屋根に天窓のついた屋根裏部屋、お庭には芝生を敷いてカーポートも備えたい。
そんな夢を叶えるために、やはり住宅建築会社をしっかりと選ぶことが肝心です。こちらの希望やニーズを親身に聞いてくれて、予算内で可能な限り形にしてくれる頼りになる建築会社を見つけることができるかどうか、それでマイホームの出来が大きく変わってしまいます。 ここでは、マイホームを建てるときの住宅建築会社の選び方について、自分にあった会社選びのポイントについて分かりやすく説明します。
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1.家を建てる会社の種類
マイホームの建築を請け負ってくれる業者としては、大きく分けて次の4種類があります。一つは地元で地域にあった家つくりを手掛ける地場工務店、全国規模で質の安定した住宅を販売するハウスメーカー、関東や関西といった地域単位で営業展開するハウスビルダー、そして住み手の希望を丁寧に具現化してくれる建築士(設計事務所)の4種類から選ぶことができます。
選ぶ前に知っておきたいこととして、これら建築業者は、それぞれ家つくりのスタイルが違うということです。どういった業者に依頼するかで、完成する家の造りやデザイン性、利便性、費用が違ってくる点に注意してください。
▼4業者の比較表
家造りを依頼する前に、まずそれぞれの住宅建築業者について確認しておくことは大事です。4種類の業者の主な特徴を表にまとめましたのでご参考にしてください。
地場工務店 | ハウスメーカー | ハウスビルダー | 建築士 | |
業態 | 地元密着型 | 全国規模の大手 | 地域単位の中堅 | 注文住宅専門 |
設計 | 設計・デザインの オリジナル性は高い | 独自の住宅商品を提供する 規格住宅が中心 デザインの自由度は低い | 独自の住宅商品を提供する 規格住宅が中心 注文住宅にも対応している | 注文住宅が中心 設計は建築士への 依頼も可能 |
施工 | 自社で施工 | 施工業者へ下請け | 基本は自社、一部下請け | 施工業者と契約 |
工期 | 比較的に長め | 規格内であれば短い | 比較的に短め | 比較的に長め |
費用 | ハウスメーカーより安め *住宅本体費用率が高い | 規格内であればかなり安め オプション追加で割高へ | ハウスメーカーより安め 基本的に工務店並み | こだわりの設計で 費用は高めの傾向 |
品質 | 丁寧な施工で品質は高め *工務店毎で技術差あり | 量産により安定した高品質 最新技術が導入される | 設計・施工一貫で質は良い * 建売は要チェック | 予算に応じた品質 設計過剰に注意 |
保証 | 品確法の10年保証+α *臨機応変に対応 | 10年保証+独自保証 *アフターケアは限定的 | 10年保証 *丁寧なアフターケア | 建築士によっては 一生保証も可 |
▼会社の種類の詳細
では次に、4種類の業者の利用メリット・デメリットを確認していきましょう。
● 地場工務店の特徴
ひとつの街を拠点として、地域密着のスタイルで家造りにいそしむ工務店は、個人の希望やニーズを優先したマイホーム造りが特徴の建築業者です。
多くの工務店は、その土地での評判や信頼度を第一に家造りをしています。一つ一つの発注に対して持てる力を注ぎ込んで丁寧なマイホーム造りをしてくれるのが工務店です。発注者のほとんどが地元の人ということで、注文の通りに造らなかったり、手抜き工事をしようものなら、あっという間に不評が広がってしまって仕事が取れなくなってしまいます。 ですから、地場工務店の家造りは多少でも発注者の満足度を上げようと、全力で仕事をする傾向があります。
地場工務店の利用メリット
- 予算に対する住宅本体の建築費の比率が高い(広告費や会社維持費などの間接費が小さい)
- 発注者との打ち合わせを入念に行い、可能な限り夢の具現化を追及する
- 地域の環境や風土にあったプランを提案してくれる
- 技術力を総動員して、隅々まで丁寧な家造りに徹する
- 価格交渉がしやすい(予算内でより希望に合った家造りをしてくれる)
- 引き渡し後のアフターケアが手厚く、いろいろと相談に乗ってくれる
地場工務店のデメリット
- 工務店によって力量が違い、技術力や実績次第で希望のレベルに届かないことがある
※ベテラン職人のレベル、デザイン力・設計力のレベル、建材の調達力・コストなど
- 注文はフルオーダーが基本、建材コストなどがかさみ、建築費が割高になりやすい
- 建材調達や専門工事業者の都合で工事が遅れる場合もある
● ハウスメーカーの特徴
ハウスメーカーは全国規模で営業展開する大手の住宅建築会社、自社で確立した規格レベルが高く、デザイン力・技術力・建築機材も最新のものを導入しています。最先端技術をカバーしているため、どういった住宅にも柔軟に対応することが可能ですし、過不足のないマイホームを造ってくれる安心感もあるでしょう。
また、モデルハウスや過去の建築例がたくさんありますから、事前にサンプルチェックをすることで具体的なマイホームの構想がイメージできます。保証に関しても長期設定になるケースが多く、長く暮らす上での安心感も得られるでしょう。
ハウスメーカーの利用メリット
- 大手企業だからこその安定した家造り・品確法よりも長期保証になる可能性がある
- 最新の技術や建材によるハイスペックな家造りが期待できる
- モデルハウスなどサンプルが多く、希望する家造りを依頼しやすい
- アフターケアの条件が明確で安心感が高い
ハウスメーカーのデメリット
- 規格中心の家造り、設計・デザインの自由度は限定的
- モデルハウスやCM。大規模な会社の維持費など、建築費以外のコストも負担する
- 綿密な打ち合わせが少なく、発注者のニーズへの対応に不満がでることもある
- オプション工事は割高になる傾向がある
● ハウスビルダーの特徴
ハウスビルダーはハウスメーカーを小規模にした住宅建築会社です。営業エリアをひとつの県や地域に絞り込み、比較的地域密着の家造りを提案しています。地場工務店との違いは事業規模で、一般的に年間30棟前後の住宅建築を手掛ける業者をビルダーと呼びます。
そのため、家造りのスタイルもまちまちで、ハウスメーカーのように規格重視で依頼を受けるところもありますし、工務店のようにフルオーダーで家造りをするところもあります。この点については事前に確認しておく必要があるでしょう。
ハウスビルダーの利用メリット
- モデルハウスを設置しているケースが多く、サンプルチェックがしやすい
- 家造り全般を一括担当するため、計画から施工までで細かな注文が出しやすい
- 地域にマッチした家造りを提案してくれる
- 地域の評判を第一にするので丁寧な家造りに徹している・アフターケアも良い
ハウスビルダーのデメリット
- セミオーダー主体かフルオーダーの見極めを誤ると希望する家造りにならない
- 技術力・デザイン力に差があり、デザインや工法が限られることがある
- 複数の依頼が集まる繁忙期では、職人・機械の不足などで工期が遅れるリスクがある
● 建築士(設計事務所)の特徴
建築士に家造りを依頼すると、発注者との念密な打ち合わせから家のデザインや機能、こだわりポイントを決めて、予算内で具現化するプランを提案してくれます。とくに間取りやキッチン・リビングといった需要な部分は、建築士の腕の見せどころ、発注者の要望を丁寧に形にしてくれるでしょう。
また、周辺環境との調和を十分に考慮し、かつ個性的で存在感のあるマイホームを造ってくれると期待できます。なお、建築士は施工監理(総監督)の立場で家造りを担当します。施工は地元などの工務店を選び、図面通りに家を完成させます。
建築士の利用メリット
- 『コンクリ打ちっぱなし』や『ガラス張り』など個性ある住宅が期待できる
- 家具や設備のデザインや機能を徹底的にこだわれる
- 建築士が監督することで費用が適正化される(予算を無駄にしない家造り)
- 手抜き工事や建築ミスを防いでくれる(ブランドを守るために厳しく監督する)
建築士のデメリット
- 希望を叶えてくれる建築士を探すのは大変
- トータルの費用が割高になる(図面通りの建築を徹底するため)
- 一般的に工期は長くなる傾向がある
▼会社の種類別のシェア
昭和の高度成長期あたりまでは、住宅造りは地場の工務店や大工が中心となって行っていました。その後技術の発展とともに工業化住宅に特化したハウスメーカーが勢力を伸ばしていきます。現在の住宅建築市場では、着工棟数シェアを見る限りは次のような状況になっています。
ハウスメーカー | 25.6%(+0.4pt) |
大手パワービルダー(年間500件以上) | 18.6%(+9.2pt) |
中規模パワービルダー(500件未満) | 6.6%(±0.0pt) |
ビルダー(100~200件) | 5.8%(マイナス0.6pt) |
小ビルダー(100件以下) | 17.9%(マイナス1.5pt) |
工務店 | 23.3%(マイナス2.4pt) |
この結果を分析しますと、大手ハウスメーカーや中規模以上のハウスビルダーの着工件数は全体の50%以上を占めていて、年々着工件数を伸ばしています。一方で、小規模のビルダーや地場工務店の着工件数は徐々に減少していることが分かるでしょう。
2.なぜハウスメーカーで建てる人が多いのか?
先の(株)住宅産業研究所のデータを見る限り、ハウスメーカーで住宅を建てる人は特に多いともいえません。大手のビルダーを含めても全体の50%ほどにとどまります。とは言いましても、この数値は年々増加傾向にありますので、ハウスメーカーに対する期待値は高まっていると知っておいてください。
これはマーケティング戦略の結果が大いに関係しています。結論的には、同じ費用で住宅を建てる場合、丈夫で長持ち、愛着のある家造りとしては大工の職人技が光る工務店の方が良いといえるでしょう。しかし、大手ハウスメーカーなどがイメージ戦略を狙った巧みなCMを頻繁に放送し、モデルハウスで大アピールしていますから、『とにかく大手ならば安心』とネームバリューで選んでしまう傾向があります。
また、ハウスメーカーは持ち前のデザイン力・技術力から見た目の良い、おしゃれな家造りが得意です。マイホームを購入するのが30代あたりの若い人であれば、この点を高く評価して選ぶということもあります。
反対に、規模の小さな工務店や個人経営の建築士は大掛かりに宣伝を展開することがありません。費用面からメディアを利用したマーケティングは困難です。つまり、知名度の低さや先端の建築技法の不足、おしゃれなデザインさといったユーザーが注目しやすいポイントを比較され、その結果として選ばれるチャンスを逸しているのが現状でしょう。
3.コストパフォーマンスが高いのは地場工務店
▼良い地場工務店の選び方
繰り返しますが、丁寧で、しかも欠陥や手抜き工事のない住宅造りを望むのであれば地場工務店が優れています。工務店では予算のほとんど全額を住宅本体に掛ける工事を行います。ハウスメーカーや大手ビルダーのように、CMやモデルルームなどに莫大な宣伝費用を掛けません。また、会社維持のコスト面でも圧倒的に有利です。
その上、丁寧に発注者の希望を取り入れ、地域での評判を落とさぬように細部までこだわった家造りに徹底します。
そしてもう一点チェックポイントとしては、ハウスメーカーなどでは在庫あまりで形遅れの建材を、見えにくい部分で大量に使っているなどの問題があり得ます。これはどの業者でも要注意なのですが、ハズレの少ないのは小規模ビルダーや工務店、建築士となるでしょう。
50年・100年と住み続ける家造りですから、手抜き工事や質の劣る建材を使わない、丁寧な仕事こそが最も大事です。屋根裏の梁1本まで職人技が行き届いていれば、大げさではありますが法隆寺のようにいつまでも美しく機能的なマイホームが実現するわけです。 ただし、工務店もしっかり選ばないと満足度がガクッと落ちてしまうので注意しましょう。失敗しないための工務店選びのコツは次の4つ。
● 業態と実績(技術力)
地場工務店は少数精鋭で家造りに取り組んでいます。ですから自社パンフレットや資料、ホームページからでは多くの情報収集が難しいかもしれません。そこで、実際に事務所を訪れて、マイホームについて相談してみるのが一番です。
事務所の職場の状況や雰囲気、家造りにかける情熱やこだわりポイントを直に見聞きするのは収穫です。そうすることで事業形態がある程度判断できます。また、職人さんたちを確認することも重要ですし、建築用の重機・機器なども見ておくと安心です。工事用の道具に手入れが行き届いていれば、それが丁寧な仕事をする証拠ともなります。
なお、過去の実績をいくつかサンプルとして内見すると良いでしょう。住んでいる人の意見や感想も伺って、その工務店の仕事を確認しましょう。
● 信頼と安心感
去の建築物件をサンプル確認することで、どの程度の予算でどのレベルの家を建ててくれるかが判断できます。さらに、完成保証についても確認しておきます。完成保証は工務店間で取り決めている保証制度で、万が一担当工務店が倒産しても他店が完成まで引き継ぐルールになっています。この完成保証に加盟しているかどうかを確認しましょう。
そして、アフターケアについても具体的に確認すると信頼度が分かるでしょう。品確法の10年保証はもちろん、その内容まで精査しましょう。どういった修理に保証が効くのか、保険適用外のサービスはどうなっているのか、これは工務店ごとで内容が違います。
● 金額
見積もりの費用と完成する住宅のバランスを考えることも大事です。建築する住宅のレベルと釣り合う費用相場があります。安すぎる場合は、得てして見積もり内容に問題があるものです。
格安が売りの工務店には、『一式見積り』といった項目が多用される傾向があり、その詳細がわかりません。見積もりに関しては、丁寧に詳細までを記入する工務店がおすすめです。
ただし、発注者には内容チェックが難しいこともありますから、できれば見積もりを建築が分かる第3者にチェックしてもらうと良いかもしれません。多少の費用を払ってでも、建築士などに確認依頼すると安心できるでしょう。
● 所在地
やはり地元の工務店に工事依頼をするのが一番得策です。建築現場までの移動時間が長いと、コスト的にも工期面でもマイナス要因となります。工事をつぶさにチェックし、突発的なことにも即対応できる地元工務店をおすすめします。
また、長年営業している工務店は、地元の評判を第一にしますから、良心的な建築工事が期待できる点もおすすめポイントです。
これら4つの点を総合的にチェックして、安心してお任せできる工務店を探すようにしましょう。
4.まとめ
マイホームは一生ものです。発注する側の夢とニーズと幸せな生活を、予算内で具現化する大イベントです。そこで、発注者の夢や希望をオーダーの形で依頼するなら、念密な話し合いのもとで設計・施工してもらうに限ります。
その点で、大手ハウスメーカーやハウスビルダーに依頼するより、地元の実績と技術力の高い工務店に依頼する方が成功率は高まるでしょう。建売住宅で希望の家があるならば別ですが、オーダー項目が多い場合は、その希望をしっかり形にしてくれる地場工務店を選ぶようにおすすめします。
※参考サイト一覧
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_sagashi/h0wp16416/
https://chumon-jutaku.jp/knowledge/contractor/4-3/1904/
https://www.nac-consul.com/mba/2018/09/news_20180917.html
https://ie-daiku.org/kaisyaerabi.html
https://sumika.me/seek_advices/726