注文住宅を建てたあとで「いらない」と思った設備19選
家族の団らんが育んだ夢のマイホームをいよいよ建てるとなれば、まして注文住宅で家族一人一人の希望を形にする場合、つい気持ちが大きくなってしまって、本当に必要かどうか疑わしい設備まで発注してしまうことがよくあります。
限られた予算で満足度の高いマイホームを建てるには、実生活に必要のない設備をしっかりと省くことが肝心です。そして省いた予算を有効に使って、生活上で重要な部分をより品質アップ・機能アップしましょう。
ここでは、『建てた後で不要だと後悔する設備』について詳しく説明いたします。
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1.建売住宅にある設備は基本的には省かない方がいい
余計な設備の注文を回避するのがマイホーム造りのセオリーとされますが、生活上で不必要な設備とはどんな設備を指すのでしょうか?
その答えを得るには、大手ハウスメーカーが造る建売住宅を手本にすると分かりやすいでしょう。建売住宅はすでに完成されていて、購入者がすぐに入居できる状態に仕上がっています。つまり、生活に必要な設備や機能がすべて整っている状態です。
建売住宅では、どのような家族にも住みやすさが実感できるようにと、備え付けられている設備に過不足がありません。ただし、低価格を追求するためにどの家庭でもニーズの高い設備に厳選されていて、贅沢レベルの設備は省かれているのが一般的です。
要するに、建売住宅には快適性を損なわないための設備がもれなく備わっていて、それは必要の範囲内で厳選されていると考えられます。
*快適生活に必要な設備は、地域の環境や風土によって変わってきます。
注文住宅を設計してもらう際は、その地域で販売されている建売住宅を参考にすると良いかもしれません。限られた予算でバランス良くデザインされた大手ハウスメーカーの建売住宅の設備・機能は、その地域で必要十分な設備・機能です。
そこで、マイホームを建てる地域のモデルハウスや販売中の建売住宅を見学するようにおすすめします。
外観のデザインや屋根・外壁・窓サッシの機能性をチェックすると良いですし、キッチンやバスルーム・トイレの設備をひと通りリストアップして、設備品のメーカーや機能、価格帯を確認すると参考になります。
コストと機能性とデザイン性のレベルを確認することで、マイホームに備え付ける設備対象が絞り込みやすくなります。そうすることで、過剰な設備を省くことも簡単になるでしょう。
2.後付できる設備であれば省いてもいい
予算内で満足度の高いマイホームを注文建築するなら、こだわりの設備以外でコストのかかりそうな設備に関しては十分検討するべきでしょう。『あった方が便利だし、リッチな気分になるけど、どうしようかな』と悩むようならば、なおさらに検討する必要があるでしょう。
とくに後付けで設置できる設備は、いったんカットしておくのが得策です。マイホームが完成した後で、予算に余裕が出れば考えるように優先順位を下げておくようにしてみてください。
後付けできる備品の一覧表
後付けできる設備 | 費用削減額 |
ジェットバス | 15~30万円 |
浴室テレビ | 10~15万円 |
キッチンの吊戸 | 10~20万円 |
浄水器 | 1~20万円 |
食洗機 | 10~20万円 |
電動式・手動式シャッター | 6~30万円/窓 |
ホームシアター | 50~100万円 |
玄関の親子ドア | 片袖より5~10万円アップ |
玄関収納 | 約10万円 |
はっきり言いますと、注文住宅の設備は基本的に後付け可能だと思っておいてください。とくに上の表に挙げた設備については、焦って備え付ける必要がないかもしれません。
実際に生活してみて、やっぱりあった方が便利だと思ったもの、生活が豊かになる・楽しくなると思った設備を後付けで設置する方が良い結果が得られます。
上記に挙がっていない設備にしても、ほとんど後付けで対応できますが、中には新築時に設置するよりも後付けの工事費がかさんでしまう設備があるので注意してください。
例えば天窓や埋め込み型エアコン、サイズの大きな浴槽への交換、コーブ照明(配線の引き直し費用)や床下収納などです。これらは、設置工事で壁や床などを加工する工事が必要となり、その分の費用が余計にかかります。
3.おしゃれ設備の考え方
注文住宅では、外観やインテリアのデザインにこだわりたいもの。独自のセンスでおしゃれなマイホームをデザインしてくれると、それが評判の建築デザイナーに依頼する人も多いでしょう。
ですが、マイホームは50年も60年も長期に暮らす場所ですから、流行のデザインで統一されたおしゃれなマイホームにどれほどの価値があるかは疑わしいものです。あまり奇抜なデザインですと、数年後に時代遅れの『ちょっとイタイおうち』になってしまうリスクもあります。
マイホームの各設備についても同様で、今流行のおしゃれアイテムを取り入れ過ぎて、数年後には『使いにくい・ダサい』と感じてしまうケースがあるのです。とくにキッチンやバスルーム、リビングの設備やトイレ・洗面所のアイテムを選ぶ際には要注です。
まず、おしゃれさよりも機能性や利便性を優先的に考えると良いかもしれません。またシンプルな設計であることも重要で、毎日利用する設備は、使い勝手やメンテナンス・清掃のしやすさを重視した方が快適生活につながるものです。
シンプルで機能的な設備ほど、おしゃれなデザインに仕上がっているもの。例えば、ドイツの名車は機能性・利便性を軸にデザインを追求します。その完成度が高いので、モノ造りで秀でた日本車でさえ負けてしまいます。 生活を豊かにしてくれる設備、快適生活のための設備を突き詰めていくことで、おのずとおしゃれな佇まいになると言えるかもしれません。必要性の低い設備をゴチャゴチャ設置しない方がおしゃれに見えるもの。必要最低限の設備で、狭いスペースを広々使いこなすのがおしゃれ度アップにつながることも確かでしょう。
4.注文住宅を建てたあとで「いらない」と思った設備19選
マイホームを注文建築で建てた人々の体験レビューなどをもとに、実際に家を建てたあとで「いらない」と後悔した設備をまとめてみましょう。
テレビドラマやバラエティ番組を見て、『今はこういった設備がおしゃれなのね・こんな設備があったら便利ね』と憧れているモノの中にも、実際はあまり利用メリットがなかったり、逆に邪魔で不便な設備もあるものです。
ここで、もっとも声が多かった『いらない設備』を19点ほど挙げておきますので、マイホーム造りの参考にしてください。
▼ジェットバス

高級な温泉ホテルの定番といえば、各部屋に備え付けられたジェットバス。細かい泡が勢いよく噴射されて、首や肩や腰、ふくらはぎをマッサージし、筋肉の内側までほぐしてくれるステキなバスシステムです。
でも、忙しい生活を送っている人にとって、ジェットバスで長時間お風呂を楽しむ余裕があまりないかもしれません。機能がデリケートなので入浴剤がNGな機種も多く、ゆず湯やしょうぶ湯、七ぐさ湯などが楽しめないのは寂しいもの。
また、特殊な装置なので定期的に配管掃除が必要ですが、その作業がとても大変です。衛生管理を手間暇のかかる設備なのです。もちろん、故障すれば高い修理費がかかりますので、設置には十分な検討が必要でしょう。
▼大きな浴槽

『お父さんが足をまっすぐ伸ばして寝そべって湯にひたる』
『家族みんなで湯船に入って、一家だんらんのお風呂タイムが楽しめる』
それほど大きな浴槽があれば、毎日の仕事疲れがすっきり解消され、家族みんなで和気あいあいの入浴が楽しめるかもしれません。
ですが、大きな浴槽は費用がかかります。まず水道代とガスか電気代がかさむことを念頭に置いておきましょう。お湯が冷めやすいために追い炊きも必要で、思った以上にランニングコストがかかります。
また、お湯を張るのに時間がかかります。お風呂掃除も手間になるかもしれません。 大きなお風呂は豊かな生活の代表的なアイテムですが、浴槽がワンサイズアップするごとに10~20万円の費用が追加されることも考慮してください。これらの条件が負担になるようでしたら、あえて選択するメリットがないかもしれません。
▼バスルームの大きな窓

窓の外の風景や星空を眺めながらの入浴はロマンチックで癒やし効果たっぷりです。
自然の豊かな別荘やタワーマンションの上階の部屋には、壁一面がガラス張りのバスルームがよく設置されています。
ですが、一般のマイホームには適しているでしょうか?
まず心配なのが防犯です。どこからか入浴シーンが覗き見られているとしたら、それは非常に怖いことです。近隣にアパートやマンションといった背の高い建物があれば、浴室がまる見えになってしまうでしょう。
眺めるに値する風景があるかどうかもポイント。窓の外が一面壁に覆われているとか、隣の建物の壁しか見えないなど、夜空がほとんど見えない環境であれば意味がないかもしれません。
また、大きな窓は冬場に浴室内が寒くなるリスクがあります。お湯も冷めやすいので、保温のために光熱費がかさむことも考慮しましょう。
▼ミストサウナ

スーパー銭湯の人気スポットにミストサウナがあります。これを家庭で楽しめるのは贅沢なことですが、いざ設置すると使わないと損した気分になるのが欠点です。
ですが、ミストサウナは準備に時間とコストがかかります。ミストは始めのうち冷風が出るので、温まるまで待たなければなりません。その時間と電気代がかさみます。
低温サウナですので、小汗をかいてスッキリ気分になるのに10分・20分の入浴が必要です。準備時間や入浴時間にそれほど時間を割けない人もいるでしょう。そのためだんだんと使わなくなるケースも多いようです。 壊れた時の修理費も高いので、経済的な余裕と時間的な余裕のある人が選ぶ設備だと言えるでしょう。
▼浴室テレビ

お風呂でテレビを見ながらゆっくり入浴するのは時代遅れかもしれません。今は、防水機能のあるスマートフォンやタブレットで入浴中にSNSやゲームを楽しむのが一般的でしょう。
浴室テレビは画面が小さく、音も悪いので、リビングで見るようには楽しめません。また、ほとんどの人は湯船に数分しか入らないでしょう。ぬるま湯にして30分も1時間もお風呂に入る人は少ないです。まして、家族が多ければゆっくり入ることもできません。
結局、浴室テレビをつけても、ほとんど見ないケースが目立ちます。
▼浴室の棚・カウンター

シャワーの前に鏡と棚・カウンターを設置するのが流行っていますが、実際は狭いバスルームを余計に狭くしてしまうケースが目立ちます。体を洗う際に邪魔になりますし、手足をぶつけてケガをする危険もあります。まずは、バスルームの空間を考えてから選択しましょう。
また、カウンターは水切れが悪く、裏面の付け根にカビがついてしまうリスクもあります。普段から掃除と室内乾燥の手間暇がかかるので、設置には十分な検討が必要でしょう。
▼キッチンの吊戸棚

キッチンでは食器や調理器具など、かなりの量の収納スペースを確保する必要があります。しかも家族の人数が多くなればなるほど、そのスペースは拡大します。そこでシステムキッチンの定番である吊戸棚ですが、あまり使っていないとの声が目立ちます。
高いところにモノを出し入れするのはちょっと面倒で、椅子や台座を設置する手間もおっくうに感じるものです。料理の最中であれば、足を踏み外したり、モノを落としたり、何かと危険なこともあります。
また、頭上の空間が狭くなって圧迫感もあります。最近は背面収納を工夫するのがトレンドで、吊戸棚が不要だという人も増えています。
▼浄水器

浄水器は健康管理の有効なアイテムですが、地域によっては水道水の安全性が高く、おいしい水が出るところもあります。また、浄水器のランニングコストが負担になることもあるでしょう。
浄水器は後付けが簡単ですので、入居後の暮らしの中で検討すると良いでしょう。新築時は何かと予算が足りなくなるもの、絶対に必要というのでなければ、いったん後回しにするのが得策です。
▼食洗機

食後の至福のひと時に食器洗いをするのは面倒との意見もありますが、現時点での食洗器は使い勝手が不十分なものが多いことに注意してください。すべての食器が洗えないこと、食器の形状によっては洗い残しが出ます。
このように、二度手間の手洗いが必要となる食洗器はストレスの元でしょう。
なお、食洗器は大量の水と洗剤を使いますし、時間も30分以上かかるため電気代もかさみます。つまりエコではないということです。ウワサほどの利便性がない食洗器なら、無理に選ばない方が賢明でしょう。
▼床下収納

キッチンの収納スペースが不十分であれば、床下収納は有効な手段となります。しかし、ほとんどの場合、食器棚など壁収納でまかなえるのが現状です。備え付けても、結局使っていないケースが目立ちます。
また、床下に食器や食料を収納するのを不潔に感じる人もいます。ここも事前に検討してください。
▼天窓

マイホームのリフォームで人気のある天窓ですが、つける場所によってはデメリットになります。
天窓は外側のガラスの清掃ができません。内側も拭きにくいので、いったん汚れてしまうと見た目も台無しです。また窓からの紫外線が強く、夏場は屋内が暑くなりがちです。雨音もうるさいということもあって、リビングやベッドルームに付ける場合は注意が必要です。
玄関のように採光と痛風が必要な場所なら、開閉式の天窓は役立ちますが、それ以外はじっくり検討するようおすすめします。
▼手動式シャッター

窓のシャッターは台風など強風が出る地域では必須アイテムです。防犯が頻発する地域でも有効です。ですが、それ以外のマイホームでは必要がないでしょう。
また、手動シャッターは開け閉めが面倒で、その際の騒音もストレスになるかもしれません。もし付ける場合は、開閉の静かでスムーズな電動シャッターが良いかもしれません。
▼埋込み型エアコン

天井埋め込みタイプのエアコンは室内の景観がスッキリするメリットがあり、高級住宅らしさの象徴ですが、デメリットについても知っておいてください。
まず、新築時に取り付けた場合、定期の清掃・メンテナンスが個人では困難になります。専門業者に依頼するのが一般的ですが、その費用が数万円かかる点に注意してください。また、故障の修理も同様で、埋め込み式の方が割高ですし、買い替えの工事費用も壁掛けよりかさみます。
そこまでインテリア性を追求しないのであれば、薄型の壁掛けエアコンで十分でしょう。
▼リビング階段

リビング階段はリビングの開放感を高め、おしゃれでモダンなシステムと近年人気を集めています。ですが、二階への移動で必ずリビングを通過するため、リビングが落ち着かない環境になりがちです。また、来客中は階上に上がるときに気を使うかもしれません。
階上にキッチンからのニオイが広がったり、テレビの音や団らんの声が響きやすいというデメリットもあります。リビングの空調が効きにくいため、場合によっては空調費用がかさむリスクもあるでしょう。
▼コーブ照明

コーブ照明とは天井の間接照明のこと。天井に折り上げ棚を設置して、その内部に照明を取り付けて天井を照らすものです。
夜間に照明を落として落ち着いた空間を演出するには最適ですが、それ以外はメインの照明をつけるので不要となります。また、掃除や電球の交換がとても大変です。折り上げ棚には非常にホコリ・チリがたまりやすいので、三脚などの台を使って頻繁に拭き掃除する必要があります。
この点を踏まえて、設置するかどうかを検討してください。
▼ホームシアター

ホームシアターなら映画館並みに映像や音楽が楽しめるのですが、家族全員で鑑賞するケースがほとんどないのが現状です。家族の誰かが映画などを楽しんでいる間、他の家族は邪魔クサイと不快になることも多く、結局誰も使わなくなるケースが目立ちます。
そして使わなくなったホームシアターのせいで、リビングの模様替えも困難になります。
つまり、ホームシアターは専用の部屋に設置しないと十分に楽しめない可能性があるのです。
▼玄関ホールのダウンライト

玄関には窓がないので、いつも暗くなりがちです。そのために、天井に複数のダウンライト(LEDライト)を埋め込む注文住宅が多々見られます。
ですが、いつも付けっ放しにしたのではランニングコストがかさみます。また、家族が出入りの度に付けたり消したりするのも面倒で、結局使わなくなるケースが目立ちます。
来客用としては良いアイテムですが、お馴染みの友達の来訪なら、そのもてなしも不要となるでしょう。 そこで、普通の玄関照明を設置するか、人感センサー付きのダウンライトを1つだけ付けるかの選択になるかもしれません。
▼玄関の親子ドア

両開きの玄関ドアのメリットは、大きな家具の搬入が可能なことと車椅子の出入りが便利になること。ですが、大きな家具を出し入れする機会はそうそうありません。またリビングがはきだし窓なら不要でしょう。
バリアフリーを徹底するマイホームであれば便利ですが、普通の玄関ドアでも車椅子は通れます。
なお、親子ドアは耐久性の面で通常の玄関ドアよりも劣るため、どちらかのドアの開閉が故障するリスクがあります。修理費用も高くなるので必要性を考慮して選ぶようにおすすめします。
▼玄関収納

玄関に大容量の収納棚を設置するのは、マイホームの定跡だとされてきましたが、現在はスッキリとシンプルにまとめる玄関が主流になりつつあります。玄関スペースが十分に広いマイホームは別ですが、コンパクトな玄関の間取りであれば、玄関収納は空間を圧迫しますし、玄関を暗くしてしまいがちです。
最近は、玄関脇にウォークインクローゼットを設け、靴や上着、お出かけ用のグッズなどをきれいに収納するのがおしゃれとされています。
5.まとめ
マイホームを注文住宅で建てるコツは、限られた予算内で家族の希望を形にして、いかに快適生活を実現させるのかにかかっています。
そのためにはマイホームの設備・機能の取捨選択を徹底することが一番重要で、備えるべき設備に優先順位をつけ、必要性の低い設備をバッサリと省くのが成功へのカギになるでしょう。
ここで紹介した『いらない設備』の実例をご参考になって、それぞれのご家族にあったマイホームプランを作ってみてください。
※参考サイト一覧
https://o-uccino.com/front/articles/48334
https://www.iidasangyo.co.jp/column/newhome/what.html